4月に入り寒い日もありましたが、桜も見事に咲き続けて春を感じられる日々が続いて嬉しいです![]()
3月に読んだ本のアップです![]()
11)原田マハ著『ユニコーン;ジョルジュ・サンドの遺言』
パリにあるフランス国立クリュニー中世美術館所蔵のタピスリー(タピストリー)《貴婦人と一角獣》と女流作家ジョルジュ・サンドの物語。
ジョルジュ・サンドは実際このタピスリーを目にし、埋もれていたこのタピスリーを世に知らしめようとしていた。
2013年このタピスリーが来日展示され、著者がこのタピスリーとジョルジュ・サンドの出会いを物語にした。
私はこういう、そうだっただろうなあと想像できるフィクションがすごく好きです。
タピスリー《貴婦人と一角獣》の挿入写真が美しすぎて、この展覧会に行っていないのをすごく悔やんでしまった。
12)藤野恵美著『ハルさん』
今日はハルさんの一人娘ふうちゃんの結婚式。愛するふうちゃんの結婚式を前に思い出す数々の出来事。
人形作家 春日部晴彦(ハルさん)は最愛の妻瑠璃子を亡くし、幼い娘風里(ふうちゃん)を育てながら人形作りをしていた。
ふうちゃんの幼稚園の時、小学4年生の時、中学生の時、高校生の時、大学生の時にふうちゃんがらみで起きる事件を、亡くなった瑠璃子さんのアドバイスを得ながら解決していくお話。
頼りないハルさんを助けれくれるお空の瑠璃子さんのハルさんとふうちゃんを想う心が力強くて頼もしい。
亡くなった家族にはもう決して会うことができないけれど、きっと見守ってくれているよねと信じることができる物語に涙した。
13)堂場瞬一著『砂の家』
前読了本から一転、う~ん私好きじゃない、もう読むのやめようと思いながら、結局最後まで読んでしまった本。
父は事業に失敗し一家心中を計り、母と妹を刺殺し刑務所へ。
生き残ったのは俺健人と弟正俊。健人は伯父に引き取られ、正俊は施設に。
健人は努力して進学し、そんな健人を「AZふーず」社長竹内は可愛がり、仕事を与え認めてやる。健人は竹内を尊敬し父のように慕う。その竹内に脅迫状が届く。竹内を守るため奮戦する健人。
犯人捜しと父の出所が重なり話がややこしく、その割には犯人や結末はあっけなく。
一生懸命読んだのにコレ?と思ってしまった小説だった。
14)ほしおさなえ著『菓子屋横丁月光荘;歌う家』
私の大好きな『活版印刷三日月堂』シリーズの著者。同じ川越の町が舞台だし、あの温かさをもう一度と期待して読みました。
でもちょっと弱かったかな?それほど感動しなかったです。
家の声が聞こえるという不思議な力を持つ大学院生遠野守人。
指導教官から川越の古民家の地図資料館「月光荘」の管理人を頼まれる。
家から聞こえる歌声。どういう意味があるのか?そこに住んでいた人の想いは?
家の声が以前住んでいた人の心を伝え、その心が人と人を和解させ、新たな関係をつくる。
このことに気づく守人にも、両親を亡くしてから閉ざしていた心に変化が・・・。
でも、まだまだ守人の想いがこちらに伝わってこない。これからを期待したいが、次、読むかな?
15)椰月美智子著『つながりの蔵』
遼子はさくら小の同窓会に30年ぶりに出席することにした。
そのことで小学校5年生の時のことを、そして経験した不思議な蔵での出来事を思い出す。
その不思議な蔵は亡くなった人がどうしているかを、またここにいない人の気持ちを知ることができる場所だった。
人は大切な人との永遠の別れを経験すると、悲しみと同時に強い後悔に襲われる。もう一度会ってあの時はゴメンと謝りたい気持ちが心の中に渦巻いでどうしようもなくなる。
誰でも心の隅に持っている後悔を、小学5年生を主人公にして物語を紡ぐことによって、また30年の年月を経た現在の人生に共感でき、気持ちにスーッと入っていけたいい物語だった。
16)谷瑞恵著『異人館画廊;幻想庭園と罠のある風景』
『異人館画廊』シリーズ第3作。
第1作を読んでからすっかり忘れてしまっていた作品。
何気に図書館の書架で手にし、もう3作目なのかと思わず借りてしまった。1作目の時はそれほど面白いと思わなかったが、この3作目は結構面白く読めた。2作目も読んでみようかと思ってしまった。
此花千景は図像学者。人の精神の核のようなイメージを使い、人の心を左右するのが図像術で、図像術を見分けその効果を判断するのが図像学者。
離島に住むブリューゲルコレクター波田野。邸宅の庭でブリューゲルの絵の再現を目論んでいる。
再現したいのは“イカルスの墜落”?
墜落させたいのは息子か千景か⁉
ブリューゲルの絵に図像術が使われているのか?
波田野の息子が起こした事件などが絡み面白く展開していき、夢中で読み進めることができた。