12月の読書 | shiratsuyuのひとことがたり

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宝塚観劇や読書の備忘録としてひとこと感想を

明けましておめでとうございます門松

 

昨年はこんなへなちょこブログに足をお運びくださいました皆様ありがとうございましたおじぎ

 

今年もまったりと続けて行けたらいいなぁと思っています。

 

年末年始の何をするでもないのに落ち着かない日々が過ぎ、やっと日常が始まりホッとしている私ですきらきら

 

今頃ですが、昨年12月に読んだ本をアップしておきたいと思います本

 

59)伊吹有喜著『彼方の友へ』

「彼方の友」とは愛読者のこと

昭和12年(1937年)~昭和20年(1945年)、日中戦争が始まり第2次世界大戦を経て終戦まで、大和之興行社(実業之日本社がモデル)発行の少女雑誌「乙女の友」(「少女の友」がモデル)編集部で主筆の雑用係として働くことになった、高等小学校卒の佐倉ハツの物語。

編集部で主筆から編集の何ぞやついて教えられ、挿絵画家長谷川純司(中原淳一がモデル)と知り合い、終戦後主筆として「乙女の友」を復興させるハツの姿が綴られる。

「乙女の友」の理念は、子どもから大人になるわずかな期間、美しい夢や理想の世界に心を遊ばせること。戦時下の統制の厳しい軍閥支配の時代に“友へ、最上のものを”との志高く理念を貫く編集者たちがこの雑誌を作り続けた。その理念は戦後ハツを主筆とした新しい雑誌に引き継がれていった。

軍国主義の時代に戻ってはいけない。今の時代が戦前と呼ばれるようにしてはならない。この小説を読みながら強く思った。

 

60)原田マハ著『翔ぶ少女』

1995年1月17日阪神・淡路大震災発生

神戸市長田区の「パンの阿藤」の三兄弟、長男逸騎(イッキ)・丹華(ニケ)・燦空(サンク)は震災に合い両親を亡くした。

その三兄弟を助けたのがゼロ先生と呼ばれる佐元良是朗。三兄弟とゼロ先生は親子関係を結び仮設住宅に住むことに。

震災で右足を怪我し障害を負ってしまった丹華(ニケ)を中心に物語が進んでいく。

大切なゼロ先生が倒れた!ゼロ先生を救うためニケの背中に羽が生え夜空を翔ぶことができた!

これって奇跡?夢?

私は少女の想いが奇跡を起こし、本当に翔んだと思いたい!そう思わせてくれる強い想いのこもった小説だった。

 

61)中山可穂著『銀橋』

『男役』『女役』と続いた宝塚シリーズ最終作品。

『男役』では月組永遠ひかる(ナッツ)が主人公。

『女役』では野火ほたる(のび太)が主人公。

そして、『銀橋』では前2作品にも登場していた花瀬レオ(レオン)が主人公。

レオンが宙組で落下傘トップになるところから話が始まり、レオンお披露目公演で退団する専科の愛河凜(アモーレ)とアモーレに憧れて宝塚入団した鷹城あきら(ジェリコ)とを絡めて話が進められる。

宝塚ファンが大好きなもの満載でとても楽しく読むことができた。

フィクションと言えども、本当にそうだろうなあ思える箇所がいくつもあり、ジェンヌさんの努力には頭の下がる思いでいっぱいになった。

文中のレオンの言葉を書き留めておきたいと思う。

“束の間でもこの世の憂さ忘れていただき笑顔になっていただくのが私達の仕事。そのため私達は血の滲むような努力をして、世界でここにしかない絶対的な美を作り出す”

ありがとうタカラジェンヌドキドキドキドキドキドキ

 

62)秋吉理香子著『聖母』

「この子は自分の命にかえても絶対に守る」

辛く大変な不妊治療を受け続け、失敗を重ね、これで最後にしようと思い詰めて臨んだ、最後の体外受精で娘を身ごもり出産した保奈美。その保奈美の住む藍出市で幼稚園児の遺体が見つかる。3歳児薫のいる保奈美は気が気でない。

その犯人は高校生真琴であると早々に明かされる。

保奈美・真琴・薫の関係が終盤に分かるのだが、絶対に守るとはこういうことなのか?それが聖母たる所以か?これで良かったのか?と凄く頭が混乱した。

幼稚園児殺害事件を調べる谷崎刑事が魅力的で最後まで読み通せた。

 

63)望月諒子著『フェルメールの憂鬱』

ベルギーの西フランドル州のワトウという村の教会にあるブリューゲルの絵が盗まれた。その絵の奪還を頼まれたイアン。

そして、メトロポリタン美術館からフェルメールの絵が盗まれた。

これにいかがわしい宗教団体の資金洗浄や贋作疑惑も絡まって物語が進んでいく。

もの凄くややこしく話の筋が絡まって、イアンって何者?今どこの話?結局教会の絵を盗んだのは誰?これは本物?と疑問符飛び回りながら読み終えた。

ただ、今人気のフェルメール絵画作品のイアン評が面白かった。

 

64)荻原浩著『海の見える理髪店』

「海の見える理髪店」「いつか来た道」「遠くから来た手紙」「空は今日もスカイ」「時のない時計」「成人式」の6編からなる短編集。

この中で「成人式」がよかった。二十歳にならずに交通事故で亡くなってしまった娘の代わりに振袖で成人式に出席する夫婦の話。娘の友達がいいスパイスになっていた。

 

65)春口裕子著『行方』

3歳の琴美が行方不明に!

幼稚園のお迎えに遅れた母妙子。琴美の友達の母親が自分の娘と一緒に連れて帰り、公園で遊ばせていたとのこと。しかし目を離したすきに居なくなったと。

探しに探すも見つからず・・・。

それから22年と2ヵ月の歳月が流れ、諦めずに探し続ける母と警察官になった琴美の兄遼太郎が小さなきっかけを手に入れる。

そして事態は動き出し、事件当時の謎が解明に向かう。

家族ってそうですよね。行方不明だと生存を信じ、見つけるまで、自分の手に抱くまで決して諦めない。どんな小さな事でも知らせがあれば確かめにいく。

この物語は最後に琴美が見つかり良かったけれど、この世の中には帰らぬ人を諦めずに待ち続ける人が大勢いると思うと胸が痛くなった。

 

今年は65冊読了!