11月の読書 | shiratsuyuのひとことがたり

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宝塚観劇や読書の備忘録としてひとこと感想を

寒くなりましたね。ちょっと前のあの陽気は何?

どうぞ体調管理を万全にしてくださいね。

 

11月中に読んだ本をアップしておきたいと思います本

 

54)東野圭吾著『美しき凶器』

かつてスポーツ界で世界的に活躍し、今はその恩恵で十分な地位を獲得し人生を送っている安生拓馬・丹羽潤也・日浦有介・佐倉翔子の4名。彼らは活躍のためにドーピングを行っていたという過去がある。そのドーピングを施行したのは仙堂之則。安生ら4人は、その過去を抹殺するため仙堂を殺害、データを消去したつもりだったが、仙堂は最強の女性アスリート養育中だったことから、その女性から命を狙われることに・・・。

とにかくその女性アスリートが不気味で恐ろしかった。

サクサク読めたが、楽しい気分になることはなかった。

この作品は1992年刊行の作品で人気作家作品といえども、今読むと古くささ感じてしまった。

 

55)柚木麻子著『ランチのアッコちゃん』

第1話:ランチのアッコちゃん

第2話:夜食のアッコちゃん

第3話:夜の大捜査先生

第4話:ゆとりのビアガーデン

ランチ・夜食・合コン・ビアガーデンと食と関わるお話4編。

ささやかな日常の食から得る小さな変化が、悩みを解消させ少し前を向かせてくれるさまが良かったなぁと思える小説だった。

 

56)五十嵐貴久著『セブンズ!』

女子7人制ラグビーチームの物語。

2019年9月岩手県釜崎市(モデルは釜石市?)でラグビーワールドカップが開催されることに決まった。

鉄と魚とラグビーが釜崎市のシンボル。ワールドカップ前に国体があり、ワールドカップ後に東京オリンピックがあり、釜崎市の女子ラグビーチームへの期待は大きい。

まだまだ競技人口も少なく知名度も低い女子ラグビー。そんなチームの苛酷な練習と国体の試合の様子が綴られ、読んでいて辛くなったりしたが、スポーツの爽やかさも感じられ面白く読めた。

 

57)澤見彰著『白き糸の道』

江戸時代後期、秩父郡藤谷淵村生まれのお糸の奮闘記。

藤谷淵村は山々に囲まれた土地で、平地が狭小のため稲作に適した田圃が少なく、そこの百姓は米作では賄えない糧を得るため桑を育てて養蚕を営んでいた。

そんな村で生まれ育ったお糸は、自立心が高く、自分にしかできないこと・己のやるべきことをしたいを願っていた。

まず、養蚕を安定させるための蚕室の温度を計る「蚕当計」の製作を蚕種商中村善右衛門と共に進める。

「蚕当計」完成後は、藩主岩松道純に力を借り普及に努める。

その次には奉公先だった豪商生糸商大塚家の大旦那を経理面から助けることに。

江戸末期の動乱期に己のなすべきことを常に考え、行動してきたお糸の行動力が溌剌と綴られて面白く読めた。

浮世絵師歌川貞秀、新選組副隊長となる土方歳三が登場し、お糸と絡みこの小説に彩りを添えていた。

 

58)誉田哲也著『あの夏、二人のルカ』

離婚し、仕事もやめ、母の残したビルのオーナーとして東京谷中に戻ってきた沢口遥。

遥が谷中で見つけた「ルーカス・ギター・クラフト」という名の本業はギター修理だが何でも修理屋の乾滉一。

蓮見翔子・谷川実悠・森久ヨウ・真嶋瑠香と高校生ガールズバンドを組むドラマー佐藤久美子。

遥、滉一、久美子がそれぞれの立場での語りで物語が進んでいく。

それぞれの物語が最後につながって、ああそうだったのかと納得いき、それぞれの登場人物が抱えていたしこりも溶け、あぁ良かったと思えて読み終えた。