今年ももう9月になってしまいました。
日の入りも早くなり何となく気の急く今日この頃です。
8月に読んだ本をアップしておきたいと思います![]()
35)柴崎友香著『かわうそ堀怪談見習い』
恋愛小説家と呼ばれることに違和感を感じる谷崎友希は怪談作家になろうと思い、中学時代からの友人西岡たまみと会い、いろいろな怖い話を聞くことにする。
怖い話とは、どうも霊にまつわる話のようで、私は霊というものについて何も思いません。本当だともウソだとも・・・。だから怖くもなんともありません。結局この小説の良さがよく分かりませんでした![]()
36)夜釣十六著『楽園』
第32回太宰治賞受賞作。
夜釣十六(よづりじゅうろく)は女流作家。
小説のテーマは「記憶の継承」
福祉系大学を卒業したにも関わらず、何の資格も取らずビルの警備員として働いている橘圭太のもとに、母方の祖父から「引き継いでもらいたいものがある」と葉書が届く。
期待しながら祖父のもとに行く圭太。行きついた所は南国の植物の茂る廃村だった。そこで祖父の太平洋戦争の体験談を聞かされることに・・・。引き継いでもらいたいものとは?
どんな密林に迷い込んだのだと思ったら簡単に脱出出来たり、祖父と思っていたのは他人だったり、診療所の女医との交流がもとで再度訪れることになったりとちょっと物語に深みが足らないように思えました。
テーマは良かったので読後残念に思えました![]()
37)荻原浩著『二千七百の夏と冬』上・下
2011年夏の出来事と2700年前の少年の話が交互に綴られて構成された小説。
2011年の夏、ダム工事現場から縄文人の少年の骨が発見される。そしてその少年と手の先を取り合ったような姿の弥生人の少女の骨が続けて見つかる。しかも少女は妊娠していた。骨格の特徴から明らかに縄文人と弥生人であると断定される。
2011年の夏の物語の主人公は新聞記者の佐藤香椰。
もう一方は、見つかった人骨の少年ウルクの物語。
香椰の方の物語は面白く読めましたが、縄文少年ウルクの物語は大きな熊を倒す話や狭い村の中での出来事で正直話に入れませんでした。
縄文時代は物語になりにくいなあと思いました。
しかし後半残り1/4になって、ウルクが村を追い出され弥生文化のクニに入り込み少女と知り合い愛し合うようになり話が急展開してやっと面白くなり、最後まで読み通すことができました。
上下巻の長編小説を読み終え、日本の古代をもっと知りたいと思うようになりました。
佐倉の歴博にでも行ってこようかと思ったのですが、残念ながら原始・古代の部屋はリニューアル中でした![]()
38)乾緑朗著『ライプツィヒの犬』
劇作家・演出家の内藤岳がオープンした劇場のお披露目公演を観に行って、あまりのつまらなさに中途退場したホワイエで劇作家ヘルムート・ギジとギジの研究をしているという桐山準と出会うところから物語が始まる。ギジはシェイクスピアの翻案で名を成した世界的劇作家。そのギジの新作をめぐってのミステリー。
ギジと東ドイツの秘密警察との関係など興味をそそり、最後の一気の謎解きは面白かったです![]()