2017年の1月も今日でおしまいです。
日もわずかですが伸びていますね。
お正月では真っ暗だった午後5時も今は明るいですね。
読書の備忘録今年も綴っておきたいと思います。
1)藤岡陽子著『手のひらの音符』
瀬尾水樹 デザイナー 45歳
コツコツと服飾の仕事に勤しみやりがいも感じていたのですが、突然社長から会社は服飾部門から撤退すると告げられます。
そこから水樹の回想が始まり、団地で家族同然に仲良くしていた森嶋3兄弟との関わりを子供の頃から高校生の頃までを、今と過去を行ったり来たりしながら物語が進んでいきます。
登場人物が影を持ちながらも魅力的で物語に引き込まれていきました。
最後にそれぞれの新たな物語が始まる予感を持たせてくれたのが静かな感動を呼び起こしてくれました。
好きですこういう物語・・・。
2)椰月美智子著『未来の手紙』
6編からなる短編集。主人公は皆中学生。
内容がちょっと幼く感じられましたが、思わず目に涙がの場面もあり、結構楽しく読み進めることができました。
それぞれの中学生の未来にエールを送りたくなりました。
3)湊かなえ著『ユートピア』
約1年予約待ちをした作品
太平洋を望む港町鼻崎町に住む3人の女性
地元に生まれ育ち結婚し仏具店の嫁として働きながら生活する堂場菜々子
日本有数の食品加工会社・八海水産の社宅に住む相場光稀
芸術家が移り住む岬タウンの住人 陶芸家 星川すみれ
15年ぶり行われる商店街祭りの実行委員として3人は出会う。
5年前にあった殺人事件と菜々子・光稀の娘たちを絡ませながら物語は進んでいきます。
女性3人の考え方が住む場所や仕事によって微妙にズレている様が面白かったです。
さてさてユートピアとはどういう場所をいうのでしょうか?
4)福澤徹三著『俺たちに偏差値はない。』
高校入学を控えた草食系男子百鬼悠太(ももきゆうた)が祖母のお見舞いで北九州大倉を訪れる。
今は亡き父の実家の父の部屋で見つけた不思議な地図。その地図の㊎の印。それを探しに出かけ見つけたのは井戸。覗き込んで落ちてしまう。それはタイムスリップする井戸だった!行きついたのが1979年。そこで高校1年生の父・百鬼剛志郎のとして生きていくことになる悠太。
1979年の事柄が面白可笑しく綴られて物語は進みます。
1979年の底辺高の高校生ってこんなに暴力的!?殴る蹴るが当たり前で気持ち悪くなったりしますが、笑いもあり何とか読み通せました。
友を救うためにした悠太の決断は??
同じ著者の『おとこ飯』読みたいと思っています。
5)五十嵐貴久著『1981年のスワンソング』
スワンソングとはアーチストにとっての最後の曲のこと。
この小説もタイムスリップもの。それも前回の作品とあまり変わらない1981年。
1981年に「世界に一つだけの花」「赤いスイートピー」「TSUNAMI」が大ヒット!
そしてスワンソングは「クリスマス・イブ」
名曲は時代を超える(遡る)ということでしょうか!
突然目の前が真っ暗になり、気が付けば1981年の同じ場所に!松尾俊介 29歳 そのままで!
生きていくために自分が学生時代に歌っていたヒット曲をレコード会社の女性ディレクターとアーチストに提供することに・・・。
1891年の木村拓哉や秋元康、そして孫正義。彼らに自分の知っている未来を語る俊介。
タイムスリップものって現代に戻ってくるというのがほとんどでしたが、この小説は自分がこの時代にタイムスリップした意味を理解して生きていくというところが新しく感動的でした。