北村薫著『太宰治の辞書』を読みました。
円紫さんと私シリーズの最新集!
私は第一集『空飛ぶ馬』は以前に読みましたが、あまり印象には残っていませんでした。
その時シリーズの≪私≫はまだ大学生だったように記憶しているのですが
この最新集の≪私≫は結婚し中学生の息子がおり、書房での仕事も20年になっていました。
時が経っているのですね!
編集者としていい仕事を重ねてきていたようでした。
著者の北村薫さんは読書家で評論・エッセイ・アンソロジー編集などにも力を発揮しておられますね。
今回、この作品を読んで、太宰治著『女生徒』の謎を≪私≫が解き明かしてゆくところにすごく興味をひかれ、さすがに書房で働く本好き編集者だと感心してしまいました。
通り一遍に読んでいたらきっと気が付かないだろうと私などは思ってしまうのですが
さすが編集者である≪私≫は見過ごせなかったのだと思いました。
それは『女生徒』の中の
「ロココ料理には・・・・(中略)ロココという言葉を、こないだ辞典でしらべてみたら・・・」
という一文。
≪私≫は太宰が調べるのに使った辞書はどの辞書かを探すことに・・・。
北村氏の本好きがこの主人公に投影され
とても興味深く読むことができた作品でした。