津村節子著『紅梅』読みました。
吉村昭氏と津村節子氏の作家夫婦
吉村昭氏の舌癌告知から癌闘病の様子・死までを妻である津村節子氏が作家と妻の目で綴った作品です。
著者の書こうとしたに反するかもしれないけれど
家庭のことや仕事のことより癌治療の様子に興味ひかれて読みました。
まず感じたことが著名な作家夫婦であるためとても恵まれた治療環境であったということです。
その治療では第一人者であると思われる大学教授が担当されたこと。
病室も特別室が用意されたこと。
そんな素晴らしい闘病環境にありながらも癌治療は難しいのだなと感じました。
舌癌治療から1年後に膵臓癌が見つかり膵臓全摘手術を受けるのですが
膵臓全摘のためインシュリンが出なくなり、それを補うため、食事前に指先に穿刺して血を採り、血糖値を測り、その量にあわせてインシュリンを自己注射していくという大変な毎日を送らなければならなくなります。
抗癌剤を服用すると吐き気やめまい倦怠感に見舞われます。
結局回復することなく死に至りました。
この小説を読んで
癌治療って必要なのか?癌細胞を切除するための臓器の全摘は必要なのか?
ということが一番ひっかかったところでした。