『ナイトローズ囚われの籠花』

(2019)感想

高岡ミズミ/北沢きょう

ガッシュ文庫

 

 

 

 

◆あらすじ

「脱げと言ったんだが、聞こえなかったか?」(『ナイトローズ 囚われの籠花』2019高岡ミズミ/ガッシュ文庫)

 

親の借金のカタに身売りさせられる知希。これから億の借金を返済する為に働かされるのはナイトローズという男性専門風俗店。女とも交わったことのない知希だが、オーナーである蓮見のことが気になりつつ別のキャスト、和住によって男を迎え入れる訓練が始まる。何を考えているのかさっぱり分からない蓮見のことが気になりつつも、始めての客に優しく抱かれ、やはり淫乱に感じる自身を知ってしまう。

 

◆感想

 

この「脱げと~」の台詞、ちょっと久遠さんを思いだして辛かった。いや、良かったという意味です。ごめんなさい。高岡先生の文章を読むともう全てを『VIP』につなげてしまう。いけない子です。やはり作家さんの書き方ってあると思うので、しっかり物語に引き込まれていても、ふとしたときに作家さんらしさとか、言い方の癖とかで誰かと重ねてしまうことありますよね。良い意味で。

 

 

●私の中でこの話の裏テーマは「どのタイミングで蓮見と結ばれるか」です。

 

知希の処女は優しいモブに奪われます。蓮見さんが最初の手ほどきしてくれるんじゃないんだ!?っていう新しい興奮がありました。第三者(和住)に揉みほぐされ淫乱な体を暴かれている様を、蓮見に見られているという状況・・・おいしいわ、えろいわでちょっとヤバかったですね。

 

この物語は、絵が可愛いので騙されそうになりますが、ちょっぴり大人の物語だと私は思ってます。知希は、店に出る前の手ほどきで攻めにやられちゃうこともありません。初体験を攻め様に捧げることもありません。初体験は凄く優しいお客様だったし、その後も目立つような変な御客さんはついていないとはいえ、攻め以外の人と仕事を重ねてるという風に説明されています。(その描写は何度もあるわけではありませんが)

 

ちゃんとキャストとして働くの凄い!!大好きな『花降楼シリーズ』もきちんとお客様のお相手してますが・・・。ちゃんとお客様の相手をするか、攻めだけのキャストとして働く(突き出し前に根引く)かは、大変重要な分かれ道だと思っています。お客様の相手をするのは「大人」使用。攻め様しか知らないのは「少女漫画」使用です。私の中で、ですよ。

 

NLですが桜小路かのこ先生の『青楼オペラ』も、突き出し前には必ず決着をつけようとしてる。それは少女漫画だから当たり前なのですが、少女漫画使用ももちろん大好きです。

 

 

オーナー蓮見(攻め)も普段からキャストの手ほどきは慣れている人に任せているようで、普通は様子を見に来たりしない。なのに知希の訓練は足しげく見に来るんです。もう初対面の時点で、お互いに好きだったんだろうなぁ。だったらさっさと致してしまえば良いのに・・・どこで結ばれるの?いつ??と、焦れ焦れとした興奮が高まります。

 

真行寺さん(初体験の相手)、良い人だけど、まじか。この人としちゃうんだーってなります。おいしい!攻め様以外の人にやられちゃうの、おいしい。もちろん、「俺しか知らない身体だろう?(『VIP棘』2005高岡ミズミ/久遠さんより)」てなわけで、攻め様以外の体を知らない受けくんも大好きですが、第三者と致して、大本命の攻め様との違いを感じるのもよろしい。しかも、めちゃくちゃ感じやすい身体で、キャスト天職!みたいな知希は真行寺さんとの初体験、ちょー気持ちよくなっちゃいます。他のお客様にも褒められて気に入られていきます。

 

 

●まさかの蓮見の事情

蓮見には、NO.1キャストの遥佳と、切っても切れない因縁があった。さすが高岡先生です。普通の遊郭モノじゃない。まさかの、蓮見の事情が・・・そうきたかー!!!です。どうかすると、主役カップルのラブシーンよりもグッときたかもしれません。サスペンスですね。

 

問題発生で緊迫したシーン・・・

 

蓮見「大丈夫か」

遥佳「厭になるほど」

(『ナイトローズ』2019高岡ミズミ/ガッシュ文庫)

 

ここの蓮見と遥佳の会話。ぐっとくるものがありました。このまさかの大大大問題が迫ってるときに、厭になるほど冷静なんですよ。どうしよう。どうなんの??うわーん・・・遥佳のことは誰が慰めてあげるんだ・・・だって、ここでもう一度蓮見とどうにかなるわけにいかないし・・・えーっと・・・しかも、知希が・・・おいぃいいい!!!!という、大変な状況です。

 

 

●結ばれたあとの2人が最高のご褒美

おいしい。最高においしい。この会話!!!結ばれたあと、キャストとして普通に店に出るのに全く客がつかず・・・あれっと肩透かしを食らう知希。えーっと・・・ん?どうしたんだい。ラストでそんな試練を課す理由とは。

蓮見に呼ばれ、売れなくなった俺は遂に店を変えられるのか・・・と落胆する知希に蓮見の放つ言葉よ。この後の流れよ・・・ご馳走さまでした。あーこの流れ、ずっと読んでいたい。頑張れ知希。

 

 

●昌という友達の存在と、続編あるなら

P135の挿絵・・・後ろの女の子、晶ですよね。これは可愛すぎる。完全に女の子じゃないか。

めちゃ可愛い顔をしているのに、ちょっと強引なプレイがお好みとは。おいしい。この子のスピンオフとか要望多数に違いない。ベタベタのイケメンキャスト遥佳のスピンオフは言わずもがな。そりゃ気になります2人とも。

 

でも私は普通に蓮見と知希との続編希望です。でも遊郭ものの切ないかな、物語が完結したらもうキャストとして仕事をするわけにいかないから、この続きの話はどうしても短編とかになっちゃいそう。何なら知希、もっ回、店で働くことになっても良いんですよ(こら)。でも、一度オーナーに見染められてキャストを辞めたのにもう一度店に出るってもう、相当な理由がないと無理ですよね。うーん・・・。

 

でも、どうにか続編出たら嬉しいです。

あー面白かった。

 

 

サブタイトルの「囚われの~」に関しては如何なものか。目を引くタイトルではありますが、本当の意味で囚われてはいないと思う。知希は現実を受け入れてちゃんと自分の意思で店に出てたもの。いやでも、借金のカタに・・・という意味では確かに囚われてるのか。だったら納得です。でも、無理やり脅されて働かされている・・・みたいな感じではありませんでした。

 

 

 

(画像Amazonから拝借。)

 

 

◆ちなみにこの表紙、えろすぎます。いやこの表紙を見て「えろい」なんて普通な感想でごめんなさい。100人が100人、「えろい」って言いますよね。受け君のボクサー、何気に赤いんですよね。真っ黒じゃないところがいやらしい。やっぱ下着は赤ですよね。勝負の赤・・・この比較的アッサリした可愛い受けさんに赤い下着ってなんかもう、ちょー卑猥です。

 

こないだの『ガッシュ文庫アンケートについて思うこと』の記事は、この本についてたアンケートでした。あと、キンドルじゃないので自分で「引用文」を作らないといけないんですね。楽しいです。アンケートはちゃんと責任を持って切手を貼って出しました。

 

 

 

 

 

◆あと、このツイート。

 

 

これは・・・。

先生、私、サイン会の時にお渡しさせていただきました便箋・・・びっしりすぎて、お渡しするの気が引けてましたが。良かったー。便箋30枚越えのファンレターを送られるパイセンがいらっしゃるとは。安心しました。足りないですよね便箋2枚とか3枚じゃ。分かります。何ぼでも書けるもんね。分かります。名前も知らないこの送り主に物凄い共感!きっと話は尽きないものと勝手に推測。

 

やっぱファンレターは書くものだ。そして、いろいろ迷走しましたが、何よりも先生の作品を買うことが第一っていう結論に至りました。これからもバンバン買います。ファンレター思いだした頃に書きます。

 

 

どなたか読んで下さった方がいらっしゃいましたら本当に感謝です。拙い文章ですみません。

閲覧ありがとうございました。