【BL】

気まぐれなジャガー

1巻 感想

ウノハナ/

 

 

キンドルにて。

めちゃくちゃ面白かったです。

青木琴美先生の傑作『カノ嘘』を彷彿とさせる展開。

でも全然違う・・・何が違うんだろう。

懐かしい・・・こっちも読み返したいところですが、残念ながら実家だ。

 

 

◆あらすじ

伝説のロックバンドPegのギター、椎名が表舞台から消えた。

椎名は今どこに、生きているのか、と噂飛び交う中、椎名は幼馴染で恋人の新(音楽雑誌の副編集)の部屋でゴロゴロイチャイチャ、最高の二ート生活を満喫していた。海外をしばらく放浪してはまた新のところに帰って英気を養う、そんな生活の椎名だが・・・。

 

 

何だろう、ミュージシャンを取り扱う話には必ず「天才」、「劣等感」、「挫折」、「発掘」、「俺だけが○○してやれる」、「最高の音」、付き物ですよねぇ~オシャレなイケメン達がオシャレな会話して、バカみたいにロックを愛して語り合っている。そして一人の男を愛してもいる・・・と。最高要員しかいませんね。

 

 

以下。ネタバレありの感想です。

 

 

 

◆「復活してくんねーかなーまたあのズキューンてなるギター聴きたいっすよー」

新(俺だって聴きたいよ)

(『気まぐれなジャガー』1巻/ウノハナ Jパブリッシング 2017年01月25日より)

 

 

かつて一世を風靡したロックバンドPegの天才ギタリスト椎名が音楽の表舞台から姿を消した。

今は気まぐれに海外を放浪しては、気が向けば恋人の新のところに帰ってきて体を重ねる・・・そんな日々を送っている。

 

 

ズキューンてなるギターですね。これは音楽好きの人にはよく分かる言葉なんだろうな。私は父が好きだから子どもの頃から観劇や映画には連れて行かれてたのですが・・・だから今も舞台やお芝居、映画は大好きなのですが、ロックはイマイチ分からんです。分かってるふりとかしたら怒られそうなので正直に言っておきますね。でも、舞台やお芝居、映画でも「ズキューン」てくることはあるので、よく分かります。「ズキューン」の中毒性ハンパないのもよく分かります。癖になりますよね。とにかく気持ちが良いですよね。

 

この「俺だって聴きたいよ」、おいしい。初っ端から、皆に愛されてる(た)ギタリストがいなくなったんだな・・・と物語に引き込まれました。

 

ちなみにここの濡れ場、ちょーえろいですね。体がアツくなります。「可愛い天才」と「インテリ色男」の濡れ場・・・ご馳走さまです。どんなに放浪しても、他の人には連絡すら返さなくなっても、必ず新のところに帰ってくる椎名がとってもキュートです。

 

 

新(どうせこいつは気まぐれな猫みたいに甘えたいときだけ甘えてくる分かってて)・・・

(『気まぐれなジャガー』1巻/ウノハナ Jパブリッシング 2017年01月25日より)

 

 

一見クールに見える、実際クールな秀才の新。最初は特に、素直な椎名君が新大好きな感じを隠し切れてませんし、隠してないし。好き好きオーラ、バンバン出てくるもんだから、え、大丈夫?新も椎名のこと、好きなんだよねぇ??って不安になるんですけど、新もちゃんと椎名のことを大好きです。なのに、こんなこと考えてるなんて。ここは、椎名がもう一度ギターを握る日はいつなのか・・・ちゃんと音楽業界に戻ってきてくれるだろうかという心配、いつだろうかという心配、そして、恋人としての心配が含まれているようで何とも複雑な心境になります。

 

「どうせこいつは」ですからね。この「どうせこいつは」って・・・新は椎名へ、何か諦めたり残念に思っていることがあるのでしょうか。本当はもっとこうして欲しい・・・という想いがあるのかな。新が椎名に望むことは、「ギタリスト」としての復活だけなのかな?他にもあるのでは・・・と勘ぐってしまいます。この一文、何ともいえず切ない。

 

 

元アイドルからの元Pegのボーカルにして、椎名のこと大好きな甚左から、椎名からの連絡はあるかと聞かれる。まさかウチにいますとは言えないまでも、連絡はアリマスヨ・・・と言う新に、

 

 

「やっぱ彼氏にはちゃんと連絡するんだな 俺のは電話もラインもほぼ無視するくせに」

(『気まぐれなジャガー』1巻/ウノハナ Jパブリッシング 2017年01月25日より)

 

 

と落ち込む甚左。

 

”彼氏には”・・・こういうところでグっときちゃいます。単純な私。いやでもここでグっときた人、絶対多いはずなんです。こういうの、読み返してると特においしいポイントだと思うんです。最初は斜め読みしてて、新と甚左すらどっちがどっちか分からん程(どんな読み方してんねん)でしたが、読み返すとバッチリですね。もう完全にハマりました。はい。

 

 

業界の酸いも甘いも知り尽くし、解散後はプロデューサーとして活躍していた甚左。今手がけている若手バンドを成功させてやりたい為、ギターを1曲で良いから椎名に弾いてくれないかと言ってみてくれと新に話す。

 

 

 

 

 

(『気まぐれなジャガー』1巻表紙/ウノハナ Jパブリッシング 2017年01月25日より)

 

 

この表紙の荒っぽさ、ズキューンですね。椎名君の存★在★感★CDのジャケットのようです。指の関節のゴツゴツした男っぽさと、大好きなギターに口付けするような、神聖なる感じが相まって、最高にかっこいいですね。

この目!!金色ですが。これはカラコン・・・ということでよろしいでしょうか。似合ってる!!

あとこのピアスなぁ・・・誰かにもらった・・・とかそういうエピソードこれからあるのでしょうか?気になりますね。

 

 

 

部屋に帰ると、新のギターを椎名が弾いている。

 

 

新「おまえがそのギター弾いてると昔を思い出すな」

椎名「・・・うんアラタのギターは俺の原点だから」

(『気まぐれなジャガー』1巻/ウノハナ Jパブリッシング 2017年01月25日より)

 

 

これなー。

 

2人の過去編にて、椎名にギターを最初に教えるのは新の方なんですが、最初から違和感を覚える程に椎名の天才っぷりがヤバすぎる。新は自分もギターを大好きだからこそ、誰が見てもちょー天才の、椎名への劣等感に苦しみます。

 

そして遂に自分はギターを弾くことを辞めて、音楽雑誌の編集者として音楽に関わる未来を選んでここまできた・・・わけですが

 

椎名の天才っぷりに圧倒され、ギターを諦めた新ですが、椎名のギターの原点は新。

 

深いですね。きっと、新が「俺の為にギターを置いてくれ」って言ったら椎名はあっさり置くと、私は思います。「やめそう」ってどっかで言ってましたしね。

 

椎名も確かにギターや音楽は好きでしょう。気持ちの良い演奏をすれば最高の高揚感でぶっ飛ぶこともできるでしょう。でも、それすらも大好きな新から教わったもの・・・。椎名は、ライブ後の気持ちの高ぶったセックス込みで「音楽」って思ってそうです。

 

いやでも、ここの解釈は凄く難しいです。

2人は。音楽とお互い、どちらの方を大事に思っているんでしょうか。

二ノ宮知子先生の『のだめカンタービレ』では、主人公2人のことを「音楽を通してしか女を愛せない男と、好きな人を通してしか音楽に向き合えない女」みたいなフレーズで表している方をどこかで見かけましたが・・・。すげ!その通り!!って思ったので何となくうろ覚えなんですが、こんな感じのニュアンスだった気がします。(少し探したけどソース見つからなくてすいません)

 

椎名は、自分がギターを好きなのももちろんですが、新が教えてくれたから、アラタの好きなものだからと頑張ってきたんだと今のところ思うのだけど。アラタが「やめちまえ」って言ったら、本当に音楽なんて辞めてしまえるんでしょうか。辞めそう。それくらい大好きで才能もあるのに、音楽よりも新の方が大事!!っていう方がこちらは嬉しいのですけどね。

 

新は、自分が最初にギターを好きだったのに、椎名と一緒にいる為に(おそらく)ギターを辞めました。それでも音楽は好きだから音楽雑誌の編集として音楽に携わっています。一見、音楽の方が大事なようでいて、椎名がギターを一生弾か(け)なくなったとしたら、音楽と関わりが無くなったとしたら、切り捨てることが出来るんでしょうか。

 

意外に冷静そうなアラタの方が心が弱かったりしてね。新はもし椎名が死んでしまったら、例えこの世界にまだ「音楽」があっても生きていけなさそう。

 

いやーなんか、自分でも難しくて・・・わけ分からんようになってきた。すいません。

 

 

腐ってる椎名を元の音楽の世界に戻してやれるのは俺だけだと思いながら椎名を抱くアラタだけど、起きたら自分で甚左イチオシの若手バンドの曲を聴き感動している椎名。

 

簡っ単に復帰宣言。

 

「俺だけだ・・・」とか思ってた自分をひそかに恥じるアラタ。

 

 

え、ここ、めちゃ軽く描かれてますけど、そんな軽くて良いんですか???いや、アラタが落ち込まない方が良いけど、何かもっと暗~いアラタの心の底が見えるのかと思ったんですけども。これからの伏線でしょうかね。こっからドロドロになるんでしょうか。「俺だけだと思ってたのに、お前には俺は必要ないんだな・・・」って卑屈になる日が来るんでしょうか・・・?それも萌えるわ。だってそんな悩みなんてたぶん宗純はぶっ飛ばしてくれるはず。

 

 

 

新「俺の前でギター弾いてくれんなら」

「何だっていいんだよ」

(『気まぐれなジャガー』1巻/ウノハナ Jパブリッシング 2017年01月25日より)

 

 

 

 

気が変わらないうちに甚左にオファーOKの返事をするアラタ。でもずっとアラタんちにいたんかーいって、ちょっと怒る甚左。

 

かわいい・・・甚左のキャラと椎名くんとの辛みが最高においしいですね。

「何だっていい」くらい、新は椎名のギターを愛している。音楽が大好きだからこそ、椎名の才能にも気づいたし、その才能を愛してもいると解釈。音楽が好きだから椎名を愛してる。じゃあ、やっぱ、弾けなくなったら椎名のこと冷めるんかな?そこ重要ですよね。

 

 

一曲、きもちよーく合わせた椎名くん。その高揚感そのままに、持て余すような熱をアラタと分け合い、奪い合う2人。

 

濡れ場、最高です。はい。

 

 

 

 

15年前・・・

 

田舎でギターやロックなんて語り合える友達は寺の住職のみだった新。その住職の息子が椎名宗純だった。

 

覚えたてのギターを披露し、感動するまだ中学生の椎名。

 

せがまれギターを教えるアラタだが、椎名の類稀なるギターの才能に気付いてしまう。

 

ついでに椎名の自分への気持ちにも気づいていて・・・

 

青春・・・。

 

 

 

 

 

 

◆感想

 

こんにちは!閲覧ありがとうございます。

 

「可愛い天才」と「秀才イケメン」の恋模様が最高に美味しい作品でした。あーもっと早く買えば良かった。存在はコミコミさんのメルマガにて知っていたのですが、音楽作品か・・・とあまり魅力を感じていなかったのですが・・・いやハズすわけなかったです。ミュージシャンかっけー!!!なるだけでした。はい。

 

よく考えると王道なんだけど、王道だってあんま気づかないです。私がミュージシャン系の話をあんま読まないからかしら。主人公たちの葛藤がどうしても「才能」とか「劣等感」とか「音楽(恋人)とどう関わるか」っていう話になるので、『カノ嘘』と重なる部分もありますが、比べられません。

 

ウノハナ先生、初作品でした。

「才能」の葛藤に女は弱いわーというか、私が弱いです。

3巻でまだ椎名が突発性難聴になったばかりですが、これからもっともっと、この病気で苦しんでいるところでしょう。「可愛い天才」の葛藤・・・おいしいですね。それをアラタは支えきることができるんでしょうか。あ、1巻でもう復帰をほのめかしてますから、支え切れたって感じですね。まさか、復帰しようと前向きになった宗純をまた本格的な難聴や家族の不幸が襲うなんて。。。まさかBLでそんなきちくな所業・・・いやあったらったで、またアラタに支えて貰えばいっか(^O^)/

 

腐歴1年生の私はウノハナ先生、初作品でしたが、この方もたくさんの過去作品がありますし、きっと界隈では有名な大御所先生なんでしょうね。早速他作品をチェックしたいと思います。『社長蓮実~』買っちゃいましたwこれも面白かった。あー面白かった!!

 

ちなみにミュージシャンで天才といえば私はミスチルの桜井和寿さんとか、ドリカムの吉田美和さんとか・・・が思い浮かびます。『カノ嘘』も桜井さんのことをイメージしながら読んでました。こうして実在の人物を思い浮かべながら話を進めてくと、より一層、椎名くんの「天才」っぷりが身にしみて胸が切なくなったり熱くなったり萌えたりすると思うのです。


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

▼こっからは私的な内容です。大丈夫な人のみどうぞ

 

 

難しかった・・・こういう複雑な話の方が感想とか書きやすいはずなのに・・・複雑すぎて私にはキツかった。とにかく読んで!!!ちょー面白かった!!!っていうのが関の山なのに、かなり無理してレビューを書きました。てかめちゃくちゃ面白かったからレビュー書きたいのに、私の文章力、語彙力じゃあ・・・ははははは。笑っちゃいます。

 

「萌えーwww」

「きゃああああwwww」

「さいこーー!!」

「ちょーさいこー!!!」

「えろすー♥♥」

「やばい!!」

 

っていう感想しか書けないのですよ私は。だから、こういうの感想書くのちょーしんどい。労力使う・・・でも面白かったから使命感で書きました。

 

え、もうちょっと読みこんだらちゃんとした感想書けるんかな・・・うーん・・・。