VIPシリーズ
あらすじ感想
⑤⑥
高岡ミズミ/佐々成美/講談社
●●VIPシリーズ 順番
○第1シリーズ
1巻「VIP」 2005
2巻「棘」
3巻「蠱惑」
4巻「瑕(きず)」
5巻「刻印」
6巻「絆」
7巻「蜜」
8巻「情動」
9巻「聖域」
10巻「残月」 2016
○番外編「桎梗」
BMオーナー宮原さんの話
○第2シリーズ
1巻「兆候」 2018
2巻「熾火」 2018
連載中
○高岡先生による番外編同人誌
VOL.1
VOL.2
●5巻「刻印」
1巻から読まずに途中から入るのもOKですが、
この「刻印」は「4部作の2作め」って感じなので…まずは瑕を読むと良いですね。
もちろん1巻から読むことをオススメしますが、途中から買ってしまった?場合はとりあえず「瑕→刻印→絆→蜜」で話がまとまってると思います。
※以下そこはかとなくネタバレありです。
○あらすじ
実家のスナックで、不本意ながらも母を手伝いながら勉強を頑張る聡。和孝の愛煙草マイセンの匂いで気を紛らわす。
母親の新しい恋人が実は自分を家に連れ帰って来た弁護士遠藤であると告げられ驚愕。(この遠藤も田丸息子の協力者)
飄々とクラブBMにやってくる田丸息子だが、久遠に砂川組の奴らを嗾けたのも田丸じゃないかと疑う和孝は、いよいよ関わりたくない。
聡のいなくなった寂しさを埋めるようにほぼ毎日久遠宅を訪れ、4年前、田丸の傾倒する白朗の組織を手にかけ怨まれていることなど聞く。
木島組が張り付いていて手が出せない和孝に代わり、聡が遠藤に連れ出されまんまと田丸にとっ捕まる。
和孝のもとに、「聡を捕まえたから、助けたいなら一人で来い」と連絡をうける。
どう考えても罠だけど、「絶対助ける」という久遠の言葉ももらい、もとより助けに行くしか選択肢のない和孝。
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○感想
和孝が聡を助けに行く!!って譲らないのはもうテッパンですが、今回は周りもそんなに「行くな!!」って閉じ込めたりせずに「しゃーなしで行ってこい」という感じですね。それよりも、絶対助けるから行ってこいって感じかな。
聡が和孝との幸せな生活を妄想しながら健気に頑張るところ、切ないです・・・でも元々殺されそうになって母親を捨てた気で家出してたわけですし、そんな家に帰ってすぐ幸せになることは難しいですよね。でも妄想することによって自分を騙して、和孝のことを考えて逃げずに頑張るところ・・・聡はやはり強い子だ。
和孝は、成金の家だし、父親の飲食店は成功してるし、宮原が「育ちの良さが分かる」と言ってるし。
聡との接点なんて17で家出したことくらいだろう。
聡はよく和孝に拾ってもらえたもんだ。
本来、聡みたいな子どもが浮上するのはたぶん無理だけど、家でずっと耐えずに飛び出したことで和孝と出会い、和孝との未来を糧にして勉強を頑張るならば、弁護士も夢じゃないだろう。
津守君と「コンビニの抽選で当たって・・・」と他愛ない話をする感じ、良いですね。和孝にも友達ができて、物語が少しずつ着実に進んでる感じ、嬉しいです。
インターホンを押して「俺」と言って鍵を開けてもらう和孝・・・かわいい。
こういう不安なときに久遠の部屋に行くって、やぱ改めて久遠と一緒にいると安心する・・・そういう存在なんだと気付かされる。
一人でやけ酒とか、夜遊び三昧とかされちゃたまらん。
(田丸には早速「君(聡)がいなくなって久遠のところで楽しくやってるよ」と言われてますが。)
「俺の心配をするほどお前も大人になったのかと、しみじみしてしまった」
「--は?」
「いつ目にしても良いホクロだ」
ここの挿絵、最強に良いですね。
ご馳走さまです。
田丸「久遠に脚を開いてるだけじゃもったいない」
こういう科白、本当にご馳走さまなんです。
第三者から二人の関係が淫猥に語られるっていうのが最強においしい。
じーんときます。
「久遠さんが反対しても俺はいく」
という和孝の首筋に歯をたてる久遠。
この話ってほとんどキスマーク付けないですよね。BL=キスマークみたいな感じありますが・・・いやよく付けてるとこ見るけど、この話は全然付けないですよね。そういう大人なところも好きです。
でも今回、自ら危険に放り込むっていうこの状況で強く噛む久遠・・・本当は行かせたくない・・・でも行くんだろうという葛藤がヒシヒシと伝わってきます。
(改めて読み返したら、ほぼ全ての巻で噛んでました(笑)まーいつか、あからさまなキスマークエピソード楽しみにしてます。)
「大サービスだな」のところ好きです。
*どこかの巻で”大サービスだ”って和孝が自分で思ってるところもめちゃ良いです。ふふっと笑いました。
シリーズ通してのファンだから、良いんですけど。多くの長編作品がそうであるように、1番面白いのはやっぱ1巻です。
この巻は、白朗編の2作目だし、「途中」だから、まあ。これ1冊を単体で評価すると星2~2.5くらい。
個人的にですが。シリーズ中、1番つまらないと思う巻です(笑)
●6巻「絆」
4部作の3作目。起承転結でいうと「転」だから派手にやり合います。
ネタバレ注意です
○あらすじ
和孝は奥歯に気休めの発信器を付けて田丸との取引の場所へ。
久遠は組の為に田丸の息子を救い出さねばならない立場だが、一般人である聡や和孝を人質にとられていることも報告し、組に喧嘩を売られている状況だと田丸父も分かってくれる。
「あれをワシの息子と思うな、全てお前に任せる」と言ってくれ、動き出す久遠。
○感想
薬に侵され、だんだん夢の中で久遠のこと思い出してる和孝・・・。落ちていく様がキレイなの、嬉しいです。ここで親との切なく哀しい過去とか思い出されちゃこっちも苦しい所、薬に侵されても読者を萌えさせていただけるとは・・・(薬で気分が高揚してるからってのが前提だと思いますが)
まさかの白朗、不能!!!
体を繋げるだけが愛じゃありません。実際、お尻でのえっちは準備とか始末とか体への負担とか、どこをとっても大変ですから挿入をしないカップルも一定数いるそうです。でも不能と知って、2人の関係がより官能的で、より濃密なものに思えてきました。
体は繋げられなくても気持ちを素直にあらわし、利用されることすら嬉しい、白朗のこと大好きで真っ直ぐな田丸。
素直なのは体だけで、(多少のデレはありつつも)憎まれ口ばかりで意地っ張りな和孝。
良い塩梅に振り切ってます。
そんな意地っ張りな和孝もだんだん大人になってくるので、白朗と田丸の気持ちも成熟して変わっていくんでしょうか。
薬漬けの和孝を介抱する久遠さん・・・愛ですね。愛ですね。
そうだよ、ここは病院に任せたりしたらつまらないですよ。まずは二人で一緒にいられる時を楽しみましょう。高岡先生、分かってらっしゃる!!!
久遠が、和孝に手を出した田丸を逃がすとは・・・て思わんでもないけど、和孝さえ戻れば何でも良いって気持ちと、田丸が久遠への恨みよりも何よりもまず白朗と一緒にいたいだけだった・・・ていう事実も知ったし、逃がしてもしょうがないな・・・と思えました。
しかも、逃げてる=またどこかで何かやらかしてくれるかもしれないということですから、これからが楽しみです。
今までの「瑕」「刻印」はゆったりまったりしてたので、「絆」はちょっと詰め込みすぎてないですか!!ってくらい駆け足な感じです。勢いがあって読み応え、満足感ばっちりです。
高岡先生、ありがとうございます!
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