「夕凪の街 桜の国」

こうの史文/双葉社

 

 

 

 

 

いわずもがな、「この世界の片隅に」の作者さんです。

 

「この世界の片隅に」も、有名になってから漫画を読んでドハマりして、映画を観て号泣。

 

なんか感動した、というだけでも十分なんだけれど・・・それ以上のものがありすぎて、上手く言葉にはできないんですけどね。

 

 

原爆の怖さ、その時の街の様子、人々の生活やなんかを、怖い写真は無しで読めます。

倒れた人や、死体、人が死ぬ描写はありますが、「絵」って感じなので苦手な人もだいぶ読みやすいと思います。

何より、可愛らしいエピソードの中にあるので大丈夫なんです。

個人的には、”はだしのゲン”より断然読みやすいと思います。

 

 

 

私は、小中学校でやる平和学習のビデオなんかを観ても、怖い画像とか出てくると目をそらすし、見てしまったら半年くらい夜、寝つきが悪くなったりと大変でして、結局、修学旅行で原爆資料館も入ることができませんでした。(先生、迷惑かけました。)

写真なんだから目の前に死体があるわけでもなのに、怖いなんて、私が幼稚過ぎるのかとか、自分だけ何か変な目で見られてないか、でもこのまま見ないままで良いのか、と悩んだ時期もありましたが、

 

 

 

そのまま大学生、社会人となり平和学習をする機会もなくなって、夏にニュースで観るくらいになって、すっかり「大人」という年齢になってしまいましたが、あとがきに、作者のこうの先生も、「原爆に関するものは避け続けてきた」とあって、なんだか救われる思いです。

 

 

 

以下、ほんの少しだけネタバレありの感想です。

 

 

 

 

 

●「夕凪の街」

原爆投下から10年後の話。

平野皆実と打越さんの恋の話なんだけど、始終かわいい。打越さん・・・優しい!!!良い男!!!

内容が内容なだけに、切ないのは分かってんだけど、2人の恋にキュンキュンです。ふつうの漫画以上のトキメキがある・・・ような?

 

流行りのワンピースを手作りしたり、雑草を煮て節約したり、好きな人にハンカチを送られたりと・・・可愛らしいエピソードの中に、ちりばめられた「ヒロシマ」感。

ラストは、じんわりと・・・奥から奥から涙が溢れて止まりませんでした。

じぃぃいいんと、この時代に生きた人々の恋情、苦労、無念、切なさ、生きる意味・・・原爆は、絶対だめですね。

 

 

●「桜の国」

養子に行った皆実の弟の娘が主人公の話です。

 

旭の転勤が決まり、「ヨメさんも連れていくんだ」と好きな人に話をする場面。

「もう今から3秒以内に目の前に来た人に決めちまおっかなー」っていうの可愛い。

 

ほのぼのエピソードがにくい。

劇的なものじゃなくて良い。

本当に、こういう柔らかくてあたたかな話が、大好きです。

 

それとまた、凪生と東子ちゃんの恋に、キュンキュンです。

 

 

P70、P71の「相生通り(”原爆スラム”とも呼ばれた)」が緑地化しているところ・・・すごく好きです。

*現在の「相生通り」とは別物だそうです。

 

 

これはもう、問答無用で全員読むべし・・・という本ですね。私は図書館で借りて読みました。