調布駅から布田天神を越して御塔坂橋のほうへ中央高速の高架を目指して歩けば「深大にぎわいの里」。市場のような敷地内に足を踏み入れると駐車場をかねた小さな広場向こうに野川が流れる。その広場のこれまた小さな一角に今年の二月下旬にオープンした、おにぎりのテイクアウト専門店「おむすびstand micro-cafe~はなれ~」がある。
はなれと呼ぶからには母屋もある。深大寺東町に二〇一一年にオープンした「おむすびカフェ&ダイニングmicro-cafe」がそれだ。看板商品のおむすびは毎日自家精米してから炊き上げるほか、新潟の食材を使ったメニューが人気。にぎわいの里のはなれでも同じメニューが楽しめる。
この日は奮発して、おむすびを三つ。梅と鮭ハラミと焼き塩麹さば。それに佐渡産岩もずく海苔のだし巻き玉子のハーフをひとつ。
おむすびをリュックに入れて野川を歩く。家まで待ちきれずベンチに腰掛けてひとつほおばる。空を見上げて風を感じながら秋の空気を吸い込む。おむすびがいっそうおいしい。
(『そよかぜ』2021年9月号/ひとやすみ)