先月号で取り上げた深大寺から北東へハケの階段を上ると、深大寺小学校の隣に青渭神社がある。
 創建年は不詳ながら、かなり古くから深大寺の総鎮守としての信仰を集めていた。天保年間(一八三四~三六年)に発行された『江戸名所図会 第三巻』に当時の様子が描かれている。
「青渭神社 虎柏神社より北の方、深大寺村の中にあり。土人この地を字して、天神ヶ谷戸と言えり。祭神詳らかならず。世に青波(あおは)天神とも称せり。相伝う、古は社前に湖水ありし故、青波の称ありと。社前、槻(ケヤキ)の老樹あり、数百余霜を経たるものなり」
 渭の文字は水が岸に打ち寄せる様を表しており、青波の名称は、かつて境内にあった大池の湧き水が青い波のように見えたことに由来しているそうだ。
 敷地内に立つ大ケヤキは、江戸名所図会が描かれた時点ですでに数百年は経っているとされ、現在の樹齢は六〇〇年とも七〇〇年とも。調布市内で最古の樹木であり、同市の天然記念物に指定されている。なお、現在の社殿は平成四(一九九二)年に再建したものである。(続く)

(『そよかぜ』2022年2月号/このまち わがまち)