このまちのヒーローランキングがあるとしたら、太宰治(一九〇九~四八)はまちがいなく上位にランクインするとおもう。その作品を通して、あるいは、その生き方(死に方)を通して、いまなお幅広い世代に強烈な印象を与えている。
 「太宰治文学サロン」がオープンしたのは二〇〇八年のこと。没後六〇年と生誕一〇〇年の年に、太宰がよく通ったという酒店「伊勢元」跡地に開設した。二〇年にはすぐ近くの三鷹市美術ギャラリー内に自宅を再現した「太宰治展示室」も誕生。三鷹駅の徒歩圏内にある三鷹跨線橋、禅林寺とともに、太宰ファンなら一度は訪れたいスポットが周辺にひしめいている。
 三月一日にリニューアルしたサロンでは、太宰の長女・津島園子の蔵書や太宰治研究の第一人者・山内祥史の研究書など約一五〇〇冊を手に取ることができるほか、文学全集や人物論、作品論、原作映画のパンフレットを展示する。
 コーヒーやクッキー、青森県産リンゴジュースなども販売。太宰が愛した銀座のバー「ルパン」を模したカウンターでコーヒー片手に過ごすもよし。ゆったり過ごせる空間になりそうだ。

(『そよかぜ』2022年3月号/ひとやすみ)