資本主義の終焉がささやかれて久しい。

 

もちろん現状の社会ではお金がないと生きていけないから、必要最低限のお金は必要だ。けれども、お金のためだけに何かをがんばれるかと聞かれらたら、答えはノーだ。その感覚は前からあったが、最近より強くなっている。そしてその感覚は多くの人の間に広がっている気がする。「モノ消費からコト消費」「物の豊かさより心の豊かさ」などの言葉もそれをあらわしている。

 

お金にかわる心の豊かさを手に入れるため、人の欲求はどこに向かっていくのだろうか。ひとつは質のいい食事だ。これまで「食」は一大産業であり、大量消費を目的に依存性の高い加工食品ばかりが流通していた。けれども今後は、心身の健康のもとともいえる食事に対しての意識がより高まっていくのではないだろうか。具体的には、添加物を含まない食品や無農薬野菜など、安全で質の高い食品へのニーズが高まっていく気がする。

 

そしてこの「質の高さ」を求める傾向は、食にかぎらず、すべての製品にいえることだろう。今後は大量生産、大量消費を目的とした商品よりも、職人によってつくられた一点物などを欲しがる人が増えるのではないか。

もうひとつ、人の欲求が向かう先として「貢献欲」があげられる。現代は「人とのつながり」が心の豊かさにつながる時代だといわれている。しかし、ただ人とつながるだけでは精神的な充足は得られないだろう。なぜなら、エゴを剥き出しにした者同士がつながったところで、煩わしさや争いしかうまれないからだ。ただつながるだけではなく、その場に所属する一人ひとりが「場に貢献する」意識をもってこそ、はじめて人とのつながりに精神的充足を感じるのではないだろうか。

 

いまを「人々の欲求がより高次元なものに向かう過渡期」だと捉え、希望的観測をもって生きていきたい。

 

マリエ・アントワネット