どうして、そんなものに手を出したのって聞かれて、

 

薬に手を出した男の子はこう言った。

 

「だって、その時だけは、苦しみを忘れられるから…」

 

 

 

 

どうして、そんなものに手を出したのって聞かれて、

 

薬に堕ちていった女の子はこう言った。

 

「だって、その時だけは、世界が綺麗に見えるから…」

 

 

 

 

世間では、薬や何かに堕ちていった人たちを、

 

まるで「悪い人」を見るかのような目で見るけれど、

 

彼らの本当の動機は、ある意味、純粋なもの。

 
 
 
 

だって、その時だけは、幸せを感じられるから、とか。

 

だって、その時だけは、忘れられるから、とか。

 

だって、その時だけは、世界が綺麗に見えるから、とか。

 

 

 

 

そりゃあ、そんなものに手を出す方が悪いのは分かるけど、

 

それ以上に、そんなものに手を出す人が生まれるような世の中がもっと悲しい。

 

 

 

 

 

忘れたいって思うほど、苦しい世の中が悲しい。

 

忘れたいって思うほど、醜い世の中が悲しい。

 

 

 

 
 

 みんな子供の頃は純粋だった。

 

その純粋な子供たちが堕ちていく、

 

この世の中が悲しい。
 

 

 

 

 
 
 

あの純粋な女の子は、

 

キラキラした蝶々を追って、堕ちていった。

 

 

 

 

 

 

世界が綺麗に見えるからっていう理由で、

 

堕ちていく天使たちが悲しい。