Histiocytic Disorders of the Chest: Imaging Findings

RadioGraphics 2015;35:357-370

 

組織球histiocyteはマクロファージと樹状細胞dendric cellから成る免疫細胞であり、Langerhans 細胞は通常は皮膚や気道の上皮にいる樹状細胞の一種である。

樹状細胞の疾患にはLangerhans cell histiocytosis, Erdheim-Chester病(xanthogranulomatous disorder)、Rosai-Dorfman病(マクロファージの異常)および、histiocytic sarcomaがある。Histiocyte二次性の異常としてGoucher, Niemenn-Pick, Fabryなどの蓄積病によるものなども挙げられる。

 

Langerhans cell histiocytosisは殆ど常に20歳から40歳の喫煙者に見られる。初期にはLangerhans cellの結節は呼吸細気管支の中心に位置し、細胞性の結節からだんだんと線維性の結節へと変化する。特徴的な嚢胞は炎症細胞によって破壊された細気管支の壁である。結節の空洞化による嚢胞もみられる。CTでは1―10㎜の小葉中心性の結節が認められ、進行するに従って結節が空洞化する。複雑な形の空洞が特徴的であり、上肺野から中肺野に見られる。肋骨―横隔膜角は保たれるのが普通であるが、進行すると肺気腫との鑑別が困難となる。その他の慢性肺疾患と異なり肺高血圧症の頻度が高い。

 

Erdheim-Chester diseaseは中高年に見られ、初発症状としては骨痛が最も多い。両側性対称性の長管骨の骨硬化(骨幹と骨幹端)が見られる。胸部所見が見られるのは20―30%。胸部では組織球は肺、胸膜(臓側に多い)、心膜、心筋へと浸潤する。肺では滑らかな小葉間隔壁肥の肥厚、胸膜下陰影、小葉中心性結節、すりガラス陰影が認められる。胸水・心嚢液貯留およびこれらの肥厚も多い。鑑別としては、肺水腫、リンパ腫、癌性リンパ管症が挙げられる。

 

Rosa-Dorfman Doseaseは小児や若年成人に認められ、痛みの無い頸部リンパ節腫大を主訴とする。リンパ節を侵すことが多く、節外病変は20―40%の患者に見られる。皮膚、骨、鼻・副鼻腔、眼窩、肺、腎臓を侵し、肺病変は2-3%に見られる。肺に見られる場合は気管・気管支と周囲のリンパ節に認められる。CTでは単発・多発のポリープが気道に見られる。肺野結節やリンパ管周囲の間質肥厚も認められる。鑑別診断としては慢性感染(真菌やマイコバクテリウム)、リンパ腫、転移が挙げられる。