The “Misty Mesentery” : Mesenteric Panniculitis and Its Mimics

AJR 2013; 200: W116-W123

 

Misty mesenteryという用語は1996年にMincelzumによって提唱された。CTでしばしば認められる腸管膜脂肪濃度の上昇のことである。

Mesenteric Panniculitis (MP) はCTにてmisty mesentery所見を呈する多くの疾患の一つである。鑑別疾患は後に記述する。

Retractile mesenteritisとは不整形の腸管膜腫瘤であり、カルチノイド、デスモイド、腹膜癌転移などとの鑑別が必要である。

 

MPはsclerosing mesenteritisと言われる一連の特発性腸管膜疾患の一つである。病態学的には3つの段階に分けられる。①腸管膜リポジストロフィー:泡沫細胞(マクロファージ)が腸管膜脂肪に置き換わる、②形質細胞、多核白血球、泡沫細胞が浸潤する、③コラーゲン沈着、脂肪壊死、線維化によって特徴づけられるretractile mesenteritis。

 

原因としては以前の腹部手術、腹部外傷、自己免疫、血管炎、感染が考えられている。悪性疾患との関連については不明である。眼窩偽腫瘍、後腹膜線維症、硬化性胆管炎、リーデル甲状腺炎などとの関連はある。

 

急性腹症や腹満感などの症状がごくまれにみられることがあり、その際にはステロイドなどで治療がなされるが、大多数は無症状で偶然発見され治療はしない。

 

CTなどの画像診断では腸管の変位が見られるが、血管の変位は無く、血管は取り囲まれる。

超音波では高エコーあるいは、不均一な高エコーである。

病変内に腫大リンパ節が認められることも多い。部位としては空腸管膜がほとんどである。

tumoral pseudocapsule(薄い被膜があるように見える)、fat halo sign(腸管膜の血管周囲には正常脂肪が保たれること)が有名であるが、ともに他の疾患でも認められ、特異的な所見では無い。

 

MPの鑑別診断としてはHodgkin, non-Hodgkinの初期、あるいは治療後、神経線維腫、脂肪腫、腸管膜脂肪肉腫が挙げられる。Mass effectがあった時にはMPではなくこれらの腫瘍を考える。

Retractile mesenteritisの鑑別診断はカルチノイド、デスモイド、腹膜癌転移であるが、画像からの鑑別は困難なことが多い。