ご注意:このブログは解剖オタク、筋肉マニアの方にお楽しみいただける内容となっておりますが、そうでない方にとってはチンプンカンプンかもしれません。


広尾にあるヨガスタジオ「Yoga Tree」(→)は、生徒も先生も外国人率が高く、ほとんどのクラスがバイリンガルで行われるインターナショナルなスタジオです。

私が15年ほど前にヨガをはじめたときの最初の先生が、ここのオーナーのマイケル・グレン先生でした。

彼のクラスは、ヨガの先生が生徒として参加することで有名なんです。

そのマイケル先生のメソッドを余すことなく学ぶことができるティーチャートレーニングの「英語版ヨガ・アナトミー講座」を担当させていただきました。



実際に体を動かして、ヨガのポーズと組み合わせながら解剖を学んでいくと、普段の治療や施術では意識しない筋肉や関節の働きが浮かび上がってくることがあります。

何回かに分けていくつかご紹介していきます。

今回は、梨状筋

英語ではPiriformis Muscle。ラテン語で梨の形状の筋肉という意味で、実際に細長い洋梨のような形をしています。

鍼灸師にとっては坐骨神経痛の治療で刺鍼をすることが多いですね。

セラピストの方ですと、お尻の脂肪の下にある大臀筋のさらにまた奥にあるコリっとした筋肉を、手の平に感じたことがあるかもしれません。



梨状筋は仙骨から始まり、大腿骨の外側にあるでっぱり=大転子に停止する筋肉で、その作用は股関節の外旋

つまり梨状筋を収縮させることで、大腿骨が外側に回旋します。

ヨガでは梨状筋を鍛えたり、ストレッチできるポーズがたくさんありますが、その中でも私が好きなのは「鳩のポーズ」。

完成形は↓こんな感じ。

私はこれ↑はできませんので、ちょっとやさしい準備ポーズのこちら↓で。


鳩のポーズの前の足、このイラスト↑では右側の梨状筋をストレッチできます。

実際にやってみると、お尻のホッペの奥の方につっぱりを感じる方が多いと思います。


ここで疑問がひとつ。。。


筋肉の縮む方向と逆に引っ張ることで筋繊維が引き伸ばされるのがストレッチですが、この「鳩のポーズ」では、前になった足の股関節は外旋しています。

どうして外旋筋である梨状筋が、同じ外旋でストレッチされるのでしょうか?

外旋筋であれば、本来は内旋することでストレッチがかかるはずです。


その答えは。。。

股関節を屈曲していくと、梨状筋が停止している大転子が骨頭よりも低い位置に移動します。


©️2019 菅田裕子 無断転載禁止 All rights reserved.

そのせいで梨状筋は、股関節を60度くらい屈曲したあたりから内旋作用の筋繊維が多くなり、90度以上になるとほぼ内旋筋となるのです。

鳩のポーズでの前足の股関節は90度以上の屈曲があり、梨状筋は内旋筋となっているため、外旋でストレッチがかかるわけです。

外旋筋から内旋筋へと、まったく逆の働きをする筋肉に変身するなんて、スゴイですよね〜!

ヨガの解剖学では、このように実際に体を動かしながら筋肉や関節の働きを”再発見“していくのがとっても楽しいのです。

次に続く。