+ 1972【坪内祐三】★★☆☆☆ | around the secret

+ 1972【坪内祐三】★★☆☆☆

 ぶっちゃけ、1972年生まれである。

 兄弟のように育った従兄弟は、アポロ13号が月に着いたその日に生まれ、月に関連のある名前を付けられた。
 子供の頃、よく言われた。「**(従兄弟)は、アポロ13号が月に着いた時に産まれたんだよ」と。
「じゃぁ私は?」と親に聞くと、これもよく言われた「アンタは、浅間山荘事件の日」。
 
 大人達にどんな事件か聞いても、みんな一種独特な嫌悪の表情をするのに、出てくる言葉は「とにかく陰惨で、異常な事件だった」くらい。

 その割に、浅間山荘事件単体の情報は、「連合赤軍が10日間、アパートの管理人を人質に立てこもる(警察官2名が殉死)」くらいで、連合赤軍や時代背景を理解していない子供時代、当時事件から10年以上経った頃でも大人の表情をああも変えるほどインパクトのある事件には思えなくて、ずっと不可解だった。

 「立てこもりの上、死者2人なんて、珍しくない話じゃん」と。

 疑問に思っていた期間が長かったからか、その事件の背景が何となく分かるようになってからも、「1972年 自分の生まれた頃」に興味を持つようになっていた。
 
 普段は「今の時代」というものなんて、意識することは少ない。
 その時々の自分や行動は、自分の判断だと思っていても、意外な程その時代の風潮や流行、思想に流されている事に気づく。
 刃向かったり疑問を抱いたりした所で、乗るか反るかの差にすぎず、その基準点は飽くまで自分の立っている場所・・・・・・その時代だからだ。

 「私」には、どんなフィルターがかかっているのか・・・・・・と思いつつ、この本を購入。

 感想としては割とマニアックな本で、「1972年、何らかの思想に生きていた人は・・・・・・」という切り口なので、私の欲しかった「日常」という観点とは、やや違い、まぁそれはそれで一つの参考材料になったかなぁ・・・・・・といった感じ。

 
 ちなみに私が自覚する、「私の時代フィルター」は、小学校時代の「個性教育」、中学校・高校時代の「アンチ事なかれ 見て見ぬふり」なヒットソング、バブル時代に青春を送ったということ・・・・・・かなぁ。
 


著者: 坪内 祐三
タイトル: 一九七二―「はじまりのおわり」と「おわりのはじまり」