野口晴哉先生
20歳代の頃、私が師と仰いだ人に手技療法家のM先生が居ます。
初めてお会いしたのは私がまだ18歳の時で、先生もまだ40歳くらいだったかと記憶しています。
先生はカイロプラクティックを主に用いておられましたが、手技の分野で先生ほど私を驚嘆させた人は他に居ません。
以降、手技を用いる治療家には多く出会いましたが、今でもこの時の驚き以上のものを私に起こさせる人にはお目にかかりません。
先生は手技以外に気功や古代史など様々なものに通じておられ、お話を聞くのが面白くて、随分通っていました。
そんな中でとても興味を持ったのが、先生が私淑されていた野口晴哉先生(1911~1976)です。
ちょうど、『聖体入門』がちくま書房に入った直後くらいのことで、野口整体ブームが起きる始めの頃でした。
野口整体は一言で説明するのが一寸難しい整体なのですが、自分自身の中の治ろうとする力をとても重視する整体で、外圧によって身体を整える多くの手技療法とは考え方の根底が違っています。
のちに私は東洋医学の分野にコミットするのですが、野口先生の考え方に触れていたので、とてもスムーズに入って行くことが出来ました(実際には野口整体に東洋的身体観が取り入れられているのですが)。
M先生にも暫く無沙汰を重ねてしまっていますが、先生から受けた影響は野口整体だけにとどまらず、計り知れないものがあります。
いつか恩返しをと思いながら、もう十何年も経ってしまい、自身の不義理と不甲斐無さを痛感せずには居られません。
先生には時折、野口整体の施術もお願いしましたが、頭部の操法や腹部の操法など、まさに神業としか言いようのないものでした。
特に、わずか数分で頭蓋骨が変化する“頭部の穴追い”は、とても印象に残っています。
今にして思えば、こういう操法を自分の体で体験出来たこともまた大きな財産となった気がします。
ただ、最初の頃にこのような高い基準を持ってしまう不幸もまた感じているのですけれど・・・。
操法を行う野口先生
さすがに操法中の写真を見ても、キリッとされていますね。
写真には実力というのがかなり露骨に出てしまいます。
これは整体に限らず、ヨーガや気功でも同じですね。