生命保険には「一時所得転換プラン」というスキームがあり、下記の流れとなります。

①祖父母から孫、両親から子供、などの流れでお金を贈与する(もらう側が未成年でも(0歳でも)問題なし)

②もらった人はそのお金で被保険者を祖父母や両親とする生命保険に加入する(お金をもらった孫や子が契約者、保険金受取人)

③将来、祖父母や両親が亡くなった際に、孫や子に死亡保険金が入る

④孫や子にかかる税金は相続税ではなく、所得税(一時所得)となるため、税金が安くなる(可能性が高い)

なぜ、こういうことが成り立つかといえば、孫や子が受け取った死亡保険金はあくまでも孫や子自身が保険料を支払ったものだからです(その原資は贈与されたものですが)。

ただ、このスキームに関する注意点は「そもそも、一番最初の入口である保険料に充てるための贈与が成り立っているのか?」ということです。

当然ですが、この贈与が成り立っていないならば、孫や子が保険料を負担したことにはなりません。

実際、保険料の負担者は誰なのか?(かかる税金は相続税なのか?、所得税(一時所得)なのか?)で争われた事例はいくつもあります。

納税者の主張が認めれたものも認められなかったものもあります。

以前に、これをテーマにある生命保険会社の幹部研修を行いましたが、「そんな話は初めて聞いた!」という方が多かったことも事実です。

当然ですが、贈与というものは今年成り立てば、来年も自動的に成り立つものではありません。

自動的に成り立つ、という前提ならば、「総額を分割して贈与しただけなので、総額が贈与税の対象になる」という別の税務的な問題が発生してしまいます。

結果として、「毎年の」贈与が「適法に」成り立っていることが大切なのです。

この一時所得転換プランに限りませんが、多くの方が実行している贈与は「民法上、成り立っている贈与」ではなく、「本人は贈与したつもり」という贈与になっていることも事実なのです。

だから、税務調査で否認されてしまうのです。