これまでは

認知症という病気や予防に焦点を当ててお伝えしてきましたが

 

いよいよ”認知症ケア”にシフトを移して書いていこうと思います。

 

 

”認知症ケア” とは、

 

認知症の人にどう接すればいいか

 

認知症の人にどう関わればいいか

 

認知症の人やその支援者の困りごとをどう回避させたらいいか

 

こんな時にどう対応したらいいか

 

というところです。

 

 

その説明するにあたって、

1つ押さえておきたい考え方があります。

 

~認知症の人は、あらゆる面で『人として』扱われることを必要としている~

 

イギリスの心理学者であるキットウッドの言葉です。

 

『介護(支援)をする側は、認知症症状ではなく、パーソンウッド(個性、その人らしさ)に注目して、その人の思いを受け止めていくことが重要』

 

この考え方を『パーソンセンタードケア』と言います。

 

もちろん認知症ケアに限ったことではありませんが、個性を重んじる介護を行うことが介護に携わる者の大切な使命となっています。

 

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ご家族は、

自分の家族が認知症になる事を頭では理解できても心で受け止めるまでにはそれなりの時間が必要だと思います。

 

認知症になった親は、

もう昔のような親ではなくなっているかもしれません。

寂しいですが、それがこれからの親の姿です。

 

その事を受け止め、家族として支えていってほしいと思います。

 

認知症という病気の事は、後からいくらでも知る事ができます。

 

理屈ではなく、今、目の前にいる認知症の親にどう向き合うか。

 

大変で苦しい思いかもしれませんが、

認知症になっても、

今まで一緒に過ごした大好きな親である事は変わりません。

 

変わらないもの

変わってしまったもの

 

そうやって少しづつ受け止めていただきたいと思います。

 

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支援者や介護士さんには、家族とは違い、

まずその方の今の姿を今すぐ受け止める事が求められます。

 

とはいえ

支援者だって介護士だって

いくらプロだと言ったって

プロの前に人間です。

 

いくら認知症だからといっても

何度言ってもわかってもらえなかったり、

ルールに反したり、

言われたくない一言を浴びせられたり、

 

いくら認知症だからといっても

腹を立てたり

嫌いだと思ってしまったり

こんな仕事は自分に向いていないと思ったり

 

そんな事は誰だってあります。

 

でもそれは、

 

人間が人間を見ているから当然なんです。

 

ロボットだったらそんな事は思いません。

認知症だからとあきらめて、支援や介護を放棄すればそんな感情は沸きません。

 

私に言わせると

その方がよっぽど悪です。

 

腹が立ったりイライラしたり

そんな自分を否定しないでくださいね。

 

そんな時はパーソンセンタードケアを思い出してみてください。

 

その認知症の方の考えや行動が、

自分と違う考えや行動だった…というだけの事です。

 

それが認知症のその方の今の姿。

 

その認知症の方を嫌な奴だなと思ったなら、

残念ながら、

今のその認知症の方は

嫌な奴と思われても仕方がない行動を取ってしまったのだから仕方がありません。

 

ただ1つ

その方が、周りからずっと嫌な奴だと思われて過ごす事はきっとその方も本意ではありませんよね。

その方にとって、

周りに嫌な奴だと思われない生活の方が、

きっと良い事なんだろうなと。

そのように

ちょっとだけ自分の気持ちを前に進めてみてください。

 

どうすればよかったか・・・

そんなことは後から考えましょう。

 

まずは自分の気持ち。

 

そうやって、

その都度、

毎回毎回、

自分の気持ちを整えていく事を習慣にしておくといいかと思います。

 

こんな偉そうに言っている私だって

聖人じゃありません。

認知症の方に不快な気分にさせられた時は、

いい意味で「どうせ認知症だから」と思うようにしています。

 

そして、

上記のような気持ちに早めに切り替えるようにしています。

 

・・・私の場合、

嫌な一言でいつも不快にさせられるのは、

嫌いな上司や同僚だったりしますよ(笑)認知症の方じゃありません。

 

嫌なのは認知症だからじゃないんです。

その人のその発言や行動、態度、顔・・・その人だからなんです。

 

仮にそれが認知症によるものなら、

かえって「認知症だから」と笑って気分転換できます。認知症じゃない人の方が屁理屈ばかりでよっぽど厄介だと思いませんか?

 

少し言葉が過ぎましたが・・・

 

認知症ケアは、

心と心の関わり合いです。

 

認知症ケアは

キレイ事じゃないんです。

 

認知症ケアでは

相手の事を考えて支援するだけではなく

一般的に言われているような献身性や愛護、擁護などでは解決しにくい「自分の心」と向き合わなければならない場面が多いのです。

 

相手の事も考えながら、

同じように、

自分の事もしっかり考えなければなりません。

 

そういった視点を持っていただきたいなと思います。

 

パーソンセンタードケア

 

覚えておいてください。

 

 【動画解説】

ぐりチャンネル

『認知症ケアに必要な心構え』

https://youtu.be/eCl6Pw6Jv-Y