昨日の続きです。
マリのお母さんに連れてかれた場所は・・・・お寺。そうお墓。
何が何だか理解できずキョトンとしていると、しばらくしてお母
さんが話し出しました。
マリは7年前のあの日(振られた日)、前々から体調をくずしていたので
病院で検査をしてその結果が出たらしい。
病名はガン・・どこのガンかはよく聞きませんでしたが、とにかくかなり
進行していて、僕と最後に会った翌日くらいから入院したそうです。
お母さんは迷った挙句、マリへの告知をしたそうです。
告知をしたのは進行速度が速く、長くは生きられないだろうという診断で
最期は思いのとおり過ごさせてあげたい。検査・治療だけで過ごさせたく
ない。何より悔いは残させたくない。とのことです。
お母さんの心痛を察します。
マリにしてみたら、もう長くないなら僕のことを考えてキレイさっぱりと分かれたい。
でも最後に1度だけでも結婚しようと言われたい。
今考えるとマリの考えそうなことだった。人一倍寂しがりやだったから、
別れることがどんなに辛いことだっただろうか?
ひとりで頑張り、背負い込むころがどんなに辛かっただろうか?
マリは入院して4ヶ月でこの世を去ったらしい。
マリからお母さんにお願いがあって、死んでも絶対僕には知らせないで
欲しいとのことだった。
そういえば、その頃の僕の口癖は
「騙すなら一生騙しつづけて欲しい」
だった。
なんで、お母さんは僕に話す気になったのか?
前年、7回忌を終え、自分の中では区切りがついたとのことでした。
マリの家に行きました。マリの部屋は当時のままでした。
机の上で昔の僕が写真たての中で笑ってました。
今まで現実を受け止めれなかったお母さんは、これからは現実と向き合い
生きていく決意をしたそうで、写真や手紙を返したいということだった。
実際今考えるとあまりにも迷惑な話しである。
それこそ「一生騙してくれよ」という感じである。
涙は意外だったけどでなかった。
でも自責の念でいっぱいだった。
なんで一緒に頑張ってと言ってくれなかったのか・・・
なんで頼ってくれなかったのか・・・
なんで弱音を吐いてくれなかったのか・・・
なんで・・・なんで・・・なんで・・・・。
答えなんてわかってる。だって自分だったらきっとそうしていただろうから。
だけど、残された自分には、真実を知ってしまった自分には、
ただただ、「なんで」がぐるぐると頭の中を巡っていた。
治りかけだった鬱病が再発した。
誰かに依存して、その誰かがいなくなってしまったら自分は壊れてしまう
だろうと思った。
人と深く付き合っていくことを避けるようになった。
人を好きになる事は避けられない。
何度だって人を好きになっていく。
でも、どこかで心のブレーキがかかる。
「これ以上ふみこむと、いなくなった時に壊れるぞ」
だれかが心の中でそう叫んでいる。
浅く広く。その方が楽でいい。
優しさだって時には人を傷つけるんだよ。
・・・・・続く。