先週の金曜の話。
我が家のダイニングルームは低気圧。
そう、これ。↓
「どーせ負けるんだ」と、先週からD猫気象予報士が発表をしていた。
しかしD猫気象予報士、前の週にやったタイガース戦の予報はギリで外した。
ホントに超激戦の末、終了間際のギリで勝ってしまったので、
「いい勝ち方とは言えない」としつつも、心の底からみなぎるような力を拳に込めガッツポーズ。
身体の中のもの全部出てくるんじゃねーか?と思うほどの喜びようだった。
タイガース戦はブリスベンでやった試合なんだけど、D猫ファミリー全員最初から諦めモードだったし、年パス持ってても高いチケットを買う必要があったので、
「どーせ負ける試合に高い金払って時間割いてまで観に行きたくない」
と、キッパリ。
…意外と冷たいな。
そして金曜日の試合は、去年の優勝チームで今年もノリに乗ってるメルボルン・デーモンズとの試合。
デーモンズはこれの前の週にシドニースワンズと戦い、スワンズに負けている。
それでライオンズの対戦相手になったわけだが、その試合の少し前にライオンズはデーモンズにボロカスやられている。
このデーモンズはライオンズに対してなんか強い。
そして金曜日の試合は敵地、MCG(メルボルン・クリケット・グラウンド)で行われるものだったので余計、
「どーせ負ける」
「こんな弱いチームじゃ勝つわけない、アウェイだし」
などと、これだけ条件が揃っているからほぼ確実に低気圧であると予報を出していた。
そして、先週のD猫気象予報士の予報通り、ダイニングは中々の低気圧だった。
こういう時、普段私はベッドルームで茶でも啜りながらブログ書いたり、デュオリンゴしたり、Netflix観たりしてるのだが、朝番終わった後でお腹が空いていたのと、もうすでにビールに手をつけていたのとで、ダイニングのカウンターで飲みながら「深夜食堂」を観ていた。
しかし、なんかいいよねー深夜食堂って。
あんな超地味な話なんだけど、心の奥の方が静かに突かれるような話が多くて。
まず舞台が新宿ゴールデン街ってのがアツい。
イントロの新宿大ガードが懐かしい。
靖国通りを歌舞伎町、市ヶ谷の方向へ抜けていくんだけど、側から見た東京!新宿!って感じでいいよねぇ。
毎日この景色を見ていた時もあったんだけどな…
好きだし、懐かしいけど、不思議なことにあの毎日には全然戻りたくない。
ドラマの中のしみったれた食堂もまたいいよね。
そんなにハキハキしてない感じの、過去に何か色々あったんかな?っていう風貌のマスターが、そっと優しく「いらっしゃい」と迎えてくれるような店、最近はもうああいうの見ないけど、成田にあったわ。
あと、ドラマ自体はすごく短いんだけど、出てくる俳優が何気に豪華なんだよね。
渋ーーーい、いい演技をする俳優陣ばかりで、マスター役の小林薫もいいし、脇を固めるレギュラーの人たちや、ゲストで登場する人もみんな演技派、個性派の人ばかり。
ついつい見入ってしまう。
飛行機の中で見たのが最初だったんだけど、なんでこんな地味な話が飛行機の中で、しかも色んな言葉に翻訳されて放映されてるのか、そう不思議に思って観たのがキッカケだった。
すっごいハマるという感じではなく、あの店に来る客みたいにたまにちょっとフラッと立ち寄る感じでスクリーンを開けたくなる。
あの店でみんなと誰かのくだらない話を聞きながら、一緒にほっこりするご飯を食べてる感じに思える。
あの深夜食堂の人気の秘密はそれなのかな?
地味だけど共感、共有できる世界がそのスクリーンの中にあることが。
ま、そんなわけでこの深夜食堂が好きな理由を語ってみた。
深夜食堂を観てたら、たまご豆腐丼というものが出てきた。
そのたまご豆腐の四角くて艶々プルンプルンなのを観てたら、ひっっさしぶりにたまご豆腐が無性に食べたくなってしまった。
ダイニングは相変わらず超絶低気圧。
嵐が吹き荒ぶ中、たまご豆腐 レシピと、即ググる私。
色々見てたら、これなら今すぐ出来るかーなんて思って、ビール2本目に差し掛かっていい気分になってたけど、もう作りたいって気持ちが勝ってたからすぐに行動。
冷蔵庫にはたっぷり卵があった。
あとは出汁と醤油とみりん。
全部普通にある。
D猫氏が絶望感丸出しの雄叫びを上げてる側で私は出し汁を作り、そして卵を割り、その空気をまるで無視するように卵をかき混ぜ続けた。
そしてこの卵に出汁をまだアツいうちに入れてかき混ぜる。
そしてここで「あっ」と静かに気づいた。
…卵濾してない。
まぁいいか。
食べるのは私だけだし、死ぬわけじゃない。
なんならもうあの味さえすれば良い。
そんなわけで、早く食べたくてしょうがない私は、その出し汁入りの卵液を結婚祝いにもらった湯呑みに流し入れた。
小さな湯呑みは5個。
急須とセットになってた。
これはD猫の親友タン君からもらったもの。
全然好みのデザインではないけど、お茶好きなのでものすごく重宝している。
小さな5個の湯呑みにピッタリ入りきった。
熱い出し汁を注いでるから卵液の中に熱で固まった澱みたいなのが若干舞っていた。
大丈夫かどうかは食べてから決めればいい。
とりあえず蒸す!
こうして二つの鍋に5個の湯呑みを入れた。
たまご豆腐のようなものが出来上がっていく様子を見ながら、私はまた静かに気づいた。
「あ、茶碗に蓋してない。」
紙とか布巾とかやってないけど、もう出来上がりそうな感じだったし、鍋蓋の水分が中に垂れたとしても別に死ぬわけじゃない。
私しか食べないし別にいい。
そんなこんなで出来上がったたまご豆腐。
熱々のうちに食べれば具なし茶碗蒸し。
実は以前茶碗蒸しが無性に食べたくなり、夜な夜な作ったことがあったが、見事に失敗。
固まらずボロボロになった。
しかし今回は超適当に酔っ払いながら作ったのにめっちゃ良い感じに仕上がってしまった。
具なし茶碗蒸し…
最高じゃん。
茶碗蒸しは具なしに限るなー。
思わず二つ、流し込むように食べてしまった。
これを冷やせばたまご豆腐かぁ。
明日の朝絶対食べよう!
それにしても案外あっさり簡単に成功してしまった。
食感も濾してないのにフルフルで滑らか。
明日もまた具なし茶碗蒸しとして作りたいからもう一回レシピ見よーなんて思って見返してみた。
…あ。
私が思ってたレシピは卵2個に対して出し汁300ml、しょうゆ、みりん小さじ2杯というものだった。
しかし、よく見たらそこにはたまご4個と書いてあった!
あれ?
4個なんて書いてあったか??
でも書いてあるから書いてあったんだな。
多分色々見回ってるうちにごっちゃになったのかもしれない。
しかし、この分量で作った具なし茶碗蒸し兼たまご豆腐、濾してないのにすっごい舌触りいいし、ホントに簡単にできてしまった。
蒸し器で蒸した方はスが入ってたけど、お湯に直接入れた方は超滑らかだった。
前回茶碗蒸し失敗した時、しっかりレシピを見て作ったけど、ボロボロ卵汁みたいにしかならず、あれ以来作るのを諦めてた。
何であの時失敗したのかがわからないくらい上手く行ってしまった。
熱々プルプルの茶碗蒸しをはほはほ言わせながら、なんか久しぶりすぎて、美味しすぎて、深夜食堂のドラマみたいに心の奥の方に味わいが沁みていった。
なんか幸せなため息が出たあと、なんか低気圧を追い払うように明るい音色で手を叩く音が耳に入った。
試合は第三クオーター。
なんと、なんと!!
最初のあれはなんだったんだ?というくらい巻き返していた!!!
もう同点になっていて、しかもなんか調子が上がっている。
低気圧はまだ若干停滞していたけど、なんか遠くの空に晴れ間が見え隠れしているような明るい兆し。
しかしまだ油断はできない状況。
ここから前試合のような激しい攻防戦が繰り広げられていった。
しかし、あっという間にメルボルンのペースが落ち、ライオンズはバカスカとゴールを決めていった。
そして私もここからは深夜食堂ではなくAFLに釘つけ。
試合時間は結構残り少ない状況だった。
油断してたら負けるかも。
でもこの調子なら勝てるかも!
頑張れ仔猫!
私の心拍数も結構上がっていた。
そして結局、D猫気象予報士の予報は大外れ。
20数点差でメルボルンに勝ってしまった!
私もこの試合は勝てないと思ってたからすっごい嬉しかったけど、D猫さんの喜びようったらもちろん私以上で、後で観戦中の心拍数見たらピーク時は140!!!
140って、これ相当だよ?
ホットヨガで一生懸命やったー!って時に150ちょっといくけども。
運動してなくて140いくとか心配になるわ。
興奮しすぎも要注意だよ、ホントに。
とりあえず今年のトーナメント戦は調子良くなかったけど、ファイナルに入ってからは去年行けなかった次のステージに進んでしまい、どーせ負ける予報しか出してなかったD猫気象予報士は、
「次も勝つ!」ときっぱりした顔で言い切っている。
次も前回惨めな負け方をしたジロング・キャッツ。
なんならキャッツ相手に勝ったことあったか思い出せない。
「前Gabba行った時に勝ってるよ!一緒に観た!」と怒られた。
ああそうか、それはすまない。
適当に間違ったレシピで作った茶碗蒸しもめちゃくちゃ美味かったし、負けると思ってた試合に勝つし、とても良い夜になった。
D猫は試合の後早速ハイライトを見てた。
私も見た。
久々にホントにいい勝ち方したなー。
そして私は翌日、同じレシピで具なし茶碗蒸しをマグカップなみなみ分作った。
また濾してないけどやっぱり美味しかったわ。
絶対また作ろ。
もし、キャッツに勝ったらうちらメルボルン行くんかな?
どうにか行きたいなー。