日雇い派遣ってした事ある方、どのくらいいるだろうか?
実は私、派遣される方も、派遣する方も両方やった事がある。
トータルで1年くらいかな。
色んな意味でものすごい面白かったし、ホントに勉強になったと言える。
リアル社会科見学って感じだったわ。
最初やり始めたのは、当時勤めてたアパレル会社で、閑散期の2月に1週間ほどの「要らない休み」(残業時間とかの調整でもらうやつ)をもらったのだけど、そんなもん貰ったってどこかへ行くお金もなく、やる事もなかったから、じゃあ日雇い派遣でもやるかぁぐらいの感じで登録をしに行った。
高校生の時もマネキン紹介所など登録はしたけど、結局あんまり仕事の紹介はされず、こういうのってあんまり仕事来ないんだなぁなんていう印象だったんだけど、この時に登録した所はその場で仕事を紹介されたんだよね。
紹介先はうちの近所の工場だった。
ただただひたすらICチップを切り抜いて、貼り付けていく作業だった。
作業中はおしゃべりしながら和気藹々なんてものとは真逆の環境で、業務以外の会話は一切禁止。
そしてマスク着用は義務。
飛ばしたツバとかでチップがダメになるから。
仕事内容自体はホントに単純作業で、一日中ずーーっとおんなじ事をする。
もうね、刑務所か!!!!って言いたくなるような雰囲気だった。
細かいのは苦手っちゃあ苦手なんだけど、別にこういう作業嫌いではなかった。
でも、あれが毎日って言うのは耐えられないかな?
この工程の作業場は全員女性で、5年10年ってやってる方もいたけど脱帽もんだね。
あんな小さな町工場から、世界中のカードなんかに使われるICチップがこんな風に作られてるんだぁって思って、気分は社会科見学だった。
やっている間、最初は失敗も多かったけど、どうしたら失敗しないか?とか、どういう要領でやったら早くつけられるか?とかを考えながら必死にやってたらあっという間に終業時間で、終わったらお疲れ様もなく、チャイムと同時にサーーーっと荷物をまとめて帰っていく光景がわたしには異様だった。
異世界といった方がいいね。
とにかく新鮮な驚きだった。
アパレルなんか時間が終わったってそんな風に帰れないしね。
次の日はこれまた近所で某コンビニ弁当の工場だった。
ものすごい多国籍な場所で、主にブラジル人、フィリピン人が多く働いていた。
日給は安かったけど、この現場すごく気に入っちゃって、アパレル完全に辞めて、派遣の内勤として働くようになった際も、ここにはしょっちゅう自分で自分を手配して働きに行っていた。
この現場では日本語があまり上手くないフィリピン人と拙い英語で話したりして、英語の練習にもなったし、いい人もいたけど、変な人もたくさんいたし、色んないざこざも多くて色々飽きなかった。
仕事内容はホントにひたすら単純作業で、コンベアから流れてきた弁当箱に具材を詰める作業だった。
これ、モノによっては手先の器用さが必要な仕事で、例えばツルッツルに滑る豆3個とかを小さなカップの右隅に入れるとか、半月切りにされたたくあん3枚を綺麗に3枚とも見える状態に開いて指定の位置に載せるとかがあって、モタモタしてるとどんどん弁当箱が流れて来るから間に合わない事もたくさんあった。
そうすると、リーダーとかに「おい派遣!!」って怒鳴られるのさ。
すごいよね。
「派遣!!」って。
番号の方がまだ固有の呼称があるなって思ったわ。
派遣だから人を人として扱わないような感じ。
まるで部品みたいなね。
これは派遣する内勤側もそんな感じ。
PCの画面に映し出された案件をいかに埋めるかしか考えていないから、派遣されるスタッフの方を自分のタスクを完了させる為の道具みたいに思ってる人も結構いた。
派遣の内勤の仕事というのは、派遣会社にとっての顧客、つまり派遣先が要求してきた人数を揃えること。
しかも工場などでの簡単な作業とはいえ、誰でも入れていいっていうわけではないから難しい。
合う合わないもあるからね。
例えば、引越みたいな人気のない仕事は中々埋められないし、体力のある男性にしか手配出来ないから厄介だった。
埋まらなかった場合は「申し訳ありません」なんかでは済まされない。
夜の12時だろうがなんだろうが電話で埋まったかどうかをしつこく確認してくる始末だった。
埋まらないと他の支店でも共有しあって埋める努力はするし、依頼自体断ることもあったけど、引越しが多い時期は案件に対してスタッフが足りないからホントに大変なんだよね。
しかも、ヤクザな口調で「おい!クソオンナ!テメーさっきから探してるって言ってるけど結果出てねーよな?仕事してんのかよ、ブス!」とか、すごい暴言を吐かれたこともあった。会ったこともないのになんで知ってんだよ?って言いたくなったわ。
▲わかりやすいので、またマスザワ内閣の動画。私がいた支店で担当していたのは違う動物の引越会社だったが、どこも似たような感じだと思う。
それにしてもヒドイ。アリさんてば。
流石にうちらも数々の暴言と夜中までそうして詰めてくるのには黙ってられず、支店長やその上の人と相談して、地区の総括をしてる大ボスがその担当に言ってくれたんだけどね。
何をどういったのかは知らないけど、そのあとは態度が軟化してくれたよ。
ま、少しの間だったけど。
実は引越会社のその人達も、自分たちでも人を探しているのだが、あの人たちまず自分たちでやるべき仕事をせずに、全部うちらに丸投げしてたんだろうなって思った。
大ボスが話したあと「あ、うちで見つかったからあの依頼キャンセルでおねがーい。」っていう電話来るようになった。
自分で自分の仕事ちゃんとやるようになったんだろうね。
こういう人って自分は金を払ってる客だから何してもいいと思ってて、そういう権利があるとすら思っている。
コレは自分が上というマウントを確実に取った状態で必ずと言っていいほど起きてしまう日本社会の闇の部分、いや、病んだ部分だと思う。
学校や職場のイジメもそう。
パワハラ、そして勝手に自分を神だと勘違いして、コンビニや居酒屋で店員さんに失礼な態度をしている客もそうだ。
ホントに民度が低い。
こういう人が蔓延ってるから、日本の労働環境は良くならんのですよ。
そもそもこういう会社は、派遣に頼らないと人が埋まらない環境が何故なのかを見つめなおすべきなのだ。
私がいたアパレル業界もほとんどの会社がそうだと思う。
アレだって結構ブラックな業界だ。
派遣会社に払うお金があるなら、正規で働いてる人の賃金をまず上げてほしい。
店長やっても手取り20万とか、ブランドによってだけどザラにある。
休みの時も店や本社から電話くるし、日々売り上げ管理とスタッフの教育や顧客対応、本社とのやりとり等々でやることが鬼のようにあるのに。
多分未だに「有休取りたいから辞める」みたいな環境だろうしね。
もちろん正規に雇われるよりも、派遣の方が都合がいいこともある。
他の目標があったりしたら辞める時に派遣の方が気が楽だ。
だから、派遣で働くならその先に別の目標がある時だけにするべきなのかなと思う。
それとか、普通では新卒しか雇ってない会社が派遣の案件に結構出ることもあるから、そういうのを利用して経験を積むのもアリだなとは思う。
「だったら学生のうちにたくさん勉強してホワイト企業入ればいいじゃない」という声もある。
でも、みんながみんなそんな風には出来ない。
それはちょっとマリーアントワネット的な発言だ。
「お腹が空いてるならケーキでも食べたらいいじゃない」って言うアレと一緒。
そうだけど、そうじゃない!みたいなね。
日雇い派遣から逸れちゃったけど、それで食いつないでいる人にも事情はある。
けど、矛盾もたくさんあった。
色々いた中のひとりだが、週4日以上日勤で働いてるのに定職には就きたがらず、「お前らは私に仕事をよこすのが仕事だろ!生活できないだろ!」とよく内勤スタッフに息巻いてる方がいた。
私は定期的に現場に行って一緒に働いたりもしてたので、何で定職に就かないのか話を聞いてみると、
「だって、私デブで頭も悪いし、仕事自分で探すのかったるいしさ、あと面接に金と時間かけるの嫌だし。だったら家でテレビ観てたい。」と、意味不明な回答が来て唖然とした事がある。
私だって学歴ないし頭もいいとは言えない。
見た目もブス寄りだけど、良くなろうとして日々努力はしてる。←こういう感じ
ホントに申し訳ないが、何でも人任せ、人のせいにして、自分をいい方向に向けようとすらしてないのに愚痴ばっかり言ってる人が多かった。
ホントに向上心なんて1ミリも感じなかったし、努力とかそんなの私の辞書にはありませんからみたいな人ばかりだったと思う。
もちろん中にはハキハキ頑張って仕事してた人もいたし、そういう人はどこからも引っ張りだこで指名受けまくりだったし、当然いい現場の紹介が行きやすくなるし、他の人よりいい日当貰ってたよね。
そして、その後ちゃんと就職してたな。
あの時は支店スタッフのみんなで泣いたわ。
いろんな意味で。
受けた仕事が何であれ、いつも明るい態度で頑張れる人を見てホントに刺激を受けた。
いやぁ、日雇い派遣業界ではホントに人生勉強させて貰ったわ。
次回は弁当工場で見た闇をお届け予定♪