〈Fさんの実例〉

 

Fさんから朝の七時に、治療院に電話がかかってきました。

 

外孫である中学生の男の子が、急に包丁(ほうちょう)を持って父親を殺すと言って暴れているということです。普段はおとなしくて良い子なのに、突然の異変に母親であるFさんの娘は困って、Fさんを通して私に依頼してきたのです。

 

早速に高級霊さまにお伺いすると、近くにあるお寺の中に祀られている稲荷(いなり)の神が障っているとのことです。Fさんにそのようなお寺があるかと尋ねると、その通りあるそうです。中学生の男の子は、前世においてお寺の住職をしており、この稲荷とは前世でかかわりがあったそうです。

 

いずれにしてもこのような障りは許されることではありません。高級霊さまに稲荷の善処をお願いしました。高級霊さまは私の身体を使わず(フーチを使わず)に、じかにこの稲荷を助け導き、しかるべき教育指導の善霊に預けて下さいました。

 

私も忙しいために最近では、皆さんの前世の恨みや、家に対する恨みや、神さまとは申せ人霊の障りは、私を通さず高級霊さまにお願いして直接解決していただくようにしています。Fさんのお孫さんは、それ以後は全く正常に戻り普通の学生として生活しています。

※参考

【稲荷】穀物や商売の神として祀ったもので、赤い鳥居の有る社でキツネはその使わしめ。後世は、多く邸内(屋敷)の守護神とされる。

 

〈Gさんの実例〉

 

Gさんからの電話です。

 

Gさんは当院の患者さんです。茶道の世界では、日本でも五本の指に入る高名な師匠(ししょう)さんです。国際的な活動もしており、トルコ大使館の役員もされています。Gさんの故郷は秋田です。地元では有名な名家で、夏には一ヵ月ぐらい故郷で過ごします。

 

UnsplashMichael Sumが撮影した写真

 

電話の内容はこうでした。避暑で秋田に来ているが、皮膚病が出て痒(かゆ)くて医者にかかっても治らず、温泉療法もしていますがどうにもたまらないとのことです。調べると、雑霊が三十体も憑依しているので除霊をしました。

 

そして一日か二日たって、また痒くて困るとの電話がありました。除霊すると治りますが、またすぐ痒くなるようです。

 

余りにも変なので、高級霊さまにGさんの痒(かゆ)みの件を伺いました。すると、近くの八幡神社の神が関わっているとのことです。その後Gさんに電話をして聞くと、Gさんの家のすぐ裏がその八幡神社だそうです。

 

子供の頃に、八幡神社の境内(けいだい)でよく遊んでいたそうです。大きな銀杏(いちょう)の木や杉の大木が茂っていて格好(かっこう)の遊び場だったようです。早速、八幡神社の神になぜGさんの身体を痒くしているのかと尋(たず)ねました。

 

八幡神社の神は申しました。県の道路拡張工事で、この境内の三分の一が削られる予定であり、住民も過疎化によって人数が少なくなり、神としての役目は終わった気がすると言っています。神として祀られているよりも普通の人霊に戻り、魂の修行をして霊性を高めたいと望んでいるようです。

 

そのために八幡神社から抜け出したいから、Gさんに知らせて高級霊さまへの橋渡しをしてもらいたくて、Gさんの身体に痒みの症状を表していたのだということです。

 

早速に高級霊さまにお願いして、八幡神社の神様をその神社から助け出し指導を行う善霊にあずけました。そしてその神社には、別の霊を神霊として宿し入れました。この祀られた新しい神霊も、何十年かすると悟って別の道を歩み出すことを希望するでしょう。

 

私たちこの世の人間も、あの世の人間も、与えられた条件の中で常に魂を磨き天の心に少しでも近づこうとするのが本来の目的であるからです。与えられた環境が、いま自分が魂を磨くのに一番ふさわしい状態だと思うことです。

 

仮に苦しい状況であっても、この苦しい状況が今の自分には当然でありこの苦しみが必要なんだと理解することです。Gさんは、八幡神社の助けが終わったら嘘のように痒みは治(おさ)まり、ゆっくりと夏を楽しんで東京に帰ってきました。

 

[解説] 稲荷様が障るのはよくあるケースです。稲荷様の社が朽ち果てて土の中に埋もれてしまい、その上に家を立てたりすると、助けてくれと障られます。どういうわけか稲荷様は自分では動けないのです。

 

ここでいう稲荷様というのは本殿の稲荷様ではなくて、分神の稲荷様のことです。

 

八幡神社の神様の事例は初めて見ました。ここまで具体的に書かれると、もう本当にそうだったのでしょう。

 

神様に頼られているときは、大神様・親神様に、自分で助け上げをお願いするしかありません。自分の体調が悪くて(他の悩みでも同じです)、土地の神様へのお詫びや先祖の助け上げをしても効果がいまいちなときは、神様に頼られているのかもしれません。大神様・親神様に、頼っている神様がいたら、助け上げをお願いしますと言って、お願いするのです。

 

ここでいう神様は、人間に近い神様のことです。神の世界には下から上まで無数の神様がいます。上の方の神様は人間には頼りません。

 

八幡の神様の例を見ていると、稲荷様と似ていて、そろそろ任務を終えて神の世界に帰ろうかなと自分で考えても、すぐにはできないんですね。どういう構造?!といつも不思議に思います。考えてもわからないので考えないようにしていますが。

 

いずれにせよ、神様の助け上げの場合は、恨みを向けられているとかでないので、比較的解決しやすいのではないかと思います。昔神社の境内で悪さをして、神様が怒っているとかだと別です。許してもらえるまで謝らないといけません。ただ、人間の霊が恨んでいる場合よりは私はマシだと思います。神様のほうが、それは理解が早いので。