[Qさんの実例]

 

Qさんは当院の患者さんで、六十歳です。やはり、長い人生ですから今日の穏やかな日を迎えるまでには大変な山坂(苦労)がありました。十数年のお付き合いですからよく分ります。Qさんが、初めに来たのは心労からの高血圧でした。

 

その後、心臓や胃腸など内臓が悪いので医者に行っても原因が分かりませんでした。私の所で治療すると治まるのですが、急にお腹が張って苦しいので、除霊して下さいと私の自宅にまで時々電話がきます。

 

Unsplashsander traaが撮影した写真

 

今のQさんの悩みは、一番上の離れた姉さんが長年うつ病であり、その姉さんの面倒を看に週二回行っていることです。丸一日みてくると、心身ともに疲れてしまうようです。この姉は、お母さんが幼い時に亡くなったので母親代わりにQさんを育ててくれた恩義ある姉です。

 

Qさんの実家は財産家です。そして、Qさんは末っ子です。兄達は、親の財産を引き継ぎ千坪以上の広い敷地に住んでいます。姉も大変な財産をもらったため、嫁には行かずに婿をとっています。Qさんにも婿をとるなら財産をあげるが、他家に嫁ぐなら少ししか財産をあげないと言われてしまいましたが、財産家一族の確執やしがらみを見て知っているため財産よりも自由を求めて嫁に出ました。

 

どうも財産家というものは、財産を身内の中に留めておきたいという思いがあるようです。Qさんの姉さんには、二人の女の子がいます。長女はアメリカに行って四十歳を過ぎていますが独身で働いています。二女は、悲運にも十年前に外国旅行の時に交通事故で亡くなっています。

 

姉さんは夫と二人きりの生活でうつ病ですから、夫も困りQさんに助けを求めてQさんが面倒を看ているのです。この姉による心労で、体調が崩れるのだと私の治療を受けながらよく話しています。

 

私もQさんの心の受け止め方、魂の成長などについてもいろいろ話させてもらっています。ですからQさんは、とても霊格は高いほうです。私は、ふと自宅にまで依頼してくるQさんに何か深い原因があるかと思ったのです。

 

早々に、神様にお伺いするとびっくりしました。原因があったのです。今までは、Qさん個人について神様に伺ったことはありましたが、その時々で問題は処理して平穏無事の生活でした。

 

問題は、異常に胃腸の調子が悪いことです。これも私は医学的にとらえて薬や私の治療、西洋医学の検査で対処していました。原因が分ってみると納得します。問題は、Qさんのおじいさんにあったのです。

 

Qさんのおじいさんは、当時でもその地域の実力者であり財産家でした。そのころ未亡人で、同じく財産家の二人(実際にはもっといたかも知れません)がいろいろの悩みでQさんのおじいさんに相談して力になってもらっていました。

 

そして、いきさつは分りませんが、結論はこの二人の未亡人の財産を取り上げ自分のものにしてしまったようです。そのため、この二人の未亡人は気が変になり一人は精神障害を起こして亡くなり、もう一人は神経からくるもので内臓が悪くなり、特に食欲がなくなり、胃痛、下痢、便秘、心臓の動悸などで亡くなりました。

 

当然、死んだ二人の恨みはQさんの実家に向けられました。特に女性です。その結果、お母さんが早死にする。姉は、精神病で苦しみいろいろの名医を訪ねてもダメで長年患っている。姉の娘も、事故死になったり独身で家に戻って住めない。

 

Qさんは、他家に嫁いだからまだ被害は少ないが、人生山坂ありで今は内臓の病で苦しむことになる。実家の女の人達は、全員が障りを受けています。それも、かなりきつく厳しいです。これを解決しない限り夜も明けません。

 

早々に、Qさんに電話をしてこのおじいさんの因縁を伝えました。ここのところ体調が狂って不安に思っているQさんが、原因が分かってほっとしたと喜んでいます。次の日、お腹が張ってとても苦しいからと除霊の依頼が自宅にきました。自宅にかけては申し訳ないといつも言っているから、よほど苦しかったんでしょう。除霊は、三十体も憑いていました。その時に、電話で次のように話しました。

 

恨みの霊や関係する霊や先祖で苦しんでいる霊は、これらの原因が分かり位牌を作ったり恨みの霊たちを助けようと私が動き始めると、関わりある霊はあの世で分かり、早くしてくれと相談者にいろいろの方法で知らせをよこすからこのような困った状態はあるよと伝えました。

 

恨んでいる霊に、次の治療日にこの問題は解決するからそれまで待つよう私の方から話しておくよとQさんに申しました。前から何度も言っていますが、苦しんでいる霊の人達は、子孫が先祖代々の位牌を作ったりすると助かることが分かり、いつまでも魂入れをしないと障りを通して催促してきます。

 

また、前生の因縁を調べると、その時点で霊の人達は分かりますから助かる糸口が見つかったと相談者の人に何らかの知らせとして障りを起こさせます。障りとしては、初めはそれほどひどくはありませんが、長く解決しないで放っておくと厳しく知らせてきます。

 

Qさんの治療の日に、早々にこの障っている二人の助けを行いました。Qさんと私が机をはさんで向かい合い、二人の恨んでいる霊を呼び出しました。暗くて寒い所にいます。まずは、苦しいこの状況から助け出して楽にしてやることが先決です。明るい所へと助け出しました。

 

明るいでしょうと言うと、ホットした様子でよかったよかったと言っています。この二人の霊に向かって、私が貴女たちは何故、暗い寒い所にいたか分かりますかと尋ねてみました。そしたら、分からないです気がつくと暗い寒い所に居ましたと答えました。

 

まだ、本人達は自分が死んだ事に気がついていません。私は、二人の霊に向かい貴女たちがなぜ暗い寒い所に居るか説明しましょうと言って、宇宙の仕組を話してやりました。貴女たちは今までに考えてみたこともないでしょうが、この世も死んだあとの世もすべて神様のつくられた世界なんです。

 

貴女たちは神様というと、神社やお寺に祀られているのが神様だと思っているのでしょうが、本当の神様は違うのです。もっともっと大きく、人間も動物も植物もこの地球にあるすべてのもの、そしてこの地球も太陽も、みんな創ったのが本当の神様なんです。

 

難しい話になりますが、その神様のお心はというと人間を創ったときの目的は、人間が皆お互いに助け合いながらお互いに相手のことを思いやり、自分や家族の事を大事にするのと同じように他の人も大事にして、皆仲良く協力しながら暮らしていくことを望んでいるのです。

 

だから神様は、嬉しい、ありがたい、お陰様で、楽しい、明るい、穏やか、というような言葉を喜びます。反対に神様が嫌うのは、自分の都合で自分だけよくなればよい、自分の家族だけがよければよい、他人はどうなってもよい、自分に合わない人や自分の悪口をいう人、自分に害を与える人などはいじめてもよい、困らせてもよい、泣かせてもよいと考える人です。

 

また神様の嫌う人は、悔しい、腹が立つ、怒る、怒鳴る、悲しい、イライラする、暗い想いなどを持つ人です。そして、人間として生きる目的がお金を多く貯めること、財産を増やすこと、人に目立ちたい、他人を自分の思うように使いたい、というような生き方に価値をおく人。このような生き方をする人は一番神様が嫌います。

 

そして神様は、死んであの世に行ったとき、神様の喜ぶ生き方をした人には明るい所へ住めるようにし、反対に神様の嫌う生き方をした人には理由はどうであれ言い訳は聞きません。自動的に暗い所に住むようになります。

 

これは、神様とか閻魔大王(裁決者)が調べて区分するのではありません。自分からそのようになるように宇宙の法則がなっているのです。あなた方は、お釈迦様の話を聞いたことがあるでしょう。お釈迦様は二千年以上も前の人で、大変な苦労をして修行しました。その結果、宇宙の法則の一部に気がつかれました。

 

その一つは、因果応報ということです。因果応報とは、人に優しくしておくと必ず自分がどこかで優しくされるし、人を困らせ泣かせたりすると必ず自分も困らされたり泣かされたりする運命があるという事です。これは、必ずそのようになります。

 

貴女たちが、大切にしていた財産をだまされ取られてしまったということも貴女たちが生きていた時に、誰か他の人を苦しめたり困らせたりしたか、貴女の前生で誰かに恨まれる様な生き方を自分では気がつかなくてもしていたと思われます。

 

だから、因果応報という法則の理由からその行いが自分のところに返ってきて、今回は信頼し頼っていた人に裏切られて財産を取られてしまったのです。このことにより、貴女たちの前生の生き方の悪い因縁が消えたことになります。

 

また神様は、人間の生きていく目的は、お金を貯めることでもなく財産を増やすことでもないと申しています。しかし、一般社会では人間の価値はお金や財産のある人を偉く見てしまいます。

 

だから普通の人は、お金や財産のことで争いが絶えません。貴女たちをだましたこの者(Qさん)のおじいさんも物欲に価値を置き、一生懸命財産を増やそうとして貴女たちの財産を奪って自分の財産を増やしたのです。

 

しかし、このような行いは神様の心に照らし合わせてみると、どれが正しくてどれが悪いかは誰が見ても明らかでしょう。まず、人をいじめ苦しめてはいけない、人のものを盗んではいけない、人を困らせてはいけないという神様の想いに逆らってあなた方を泣かせ苦しめたわけです。

 

また、財産やお金は人生の目的ではなく、お金や財産は皆が仲良く暮らすための道具に過ぎません。だから、皆で助け合いながら仲良くするという目的を壊し、その道具のお金や財産に目的を置くということは、当然死んであの世に行った時は地獄の中でも下層の低いところで苦しまなければならないことになっています。

 

当然、この者(Qさん)のおじいさんは今、地獄の底の暗いところで苦しんでいます。その証拠には、貴女たちも暗い寒いところに居たでしょう。貴女たちは、自分達は何も悪いことはしていないのに、なぜ暗いところへ落とされたのかと考えてみて下さい。…そうですここが、いちばん大切なところです。

 

神様は、自分にどんな理由があろうと、自分がどんなに正しかろうと、人を憎んだり、人を恨んだり、人を困らせようとすると、そう思っている人は暗いところへ落とされてしまいます。何故なら神様の想いは、すべての人を許し、思いやり助け合う、人に尽くすという心です。それに反するから、寒い暗いところへ落とされてしまうのです。

 

私も経験していることですが、自分に悪い事をした人や自分を落とし入れようとした人などは、絶対に許せないものです。思っただけでも腹が立ちます。その時には、その悪い人を見ずに、こう思うようにしています。

 

人間はすべて神様の子供です。大勢の子供の中には、ワカラズヤでダダッコの子もいます。親の目から見ると手のかかる困った子供です。親の身になると、困らせたり悪い事をしている子のほうが心配です。こんな時、この悪のダダッコを許し助け、力を貸してくれる良い子がいれば、その良い子には特別にご褒美をあげたくなると思います。

 

いじめられ苦しめられて腹も立つでしょうが、ここは親の神様に喜んでもらうために感情は許せなくても、良い子のふりをしていじめ苦しめた人を許そうではありませんか。今の貴女たちは、暗い所から出て明るい所でこの話を聞いています。

 

心が納得するには、時間がかかると思いますが宇宙の仕組(法則)はこうなっているのです。あなた方が、また、財産を奪ったこの者(Qさん)のおじいさんのことを悔しい仇をとりたいと思うと、今まで住んでいた暗い寒い世界に戻ることになってしまいます。

 

いま貴女たちは、自分が死んであの世に生きていることもよく理解していないと思います。ですから無理もないことです。でも明るいところへ今は出たから、これからいろいろの事が分かってくると思います。

 

ここで、もう一度注意しておきたいことがあります。貴女たちは、貴女たちをだました男の家の子孫に怒りを向け、困らせていろいろと災禍を起こしてきました。貴女たちのやられた事を思うとその気持も理解できます。でも、神の目から見るとつまり因果応報の規則からいうと、当然貴女たちもまた次に生まれ変わってくる時はこの因縁を背負って来なければなりません。

 

それをなくすためには、今明るい所へ助け出されたそこにいる高級霊様の指導を受けて、今度は世のため人のためになるような生き方をして下さい。お釈迦様の法則で、次のもう一つの法則の諸行無常も知っていて下さい。

 

それは、「何事も原因があってその結果そうなるという原因と結果から、いつまでも変わらないで常に一定しているものはなく、運命は常に変わっていく」ということです。この「すべては変わる」という法則も永遠の真理なのです。

 

貴女たちは悔しい腹が立つという思いから、この男の子孫の罪もない人達を困らせ苦しめてきました。しかし、どんな理由があったにしろいけないことです。そういういけない原因をつくってしまいました。このままでは、また困った結果がいつか必ず出てきます。

 

これだと、困った事の悪循環になります。その運命を変えるには、運命は常に変わっていくという法則を利用することです。これからは、人を許し「内の心」で生きることです。世のため人のために尽くすという心がけです。

 

あなた方が、このだました男の仇はとらなくてもその男は自らの責任で地獄の底に落とされ、そこで苦しみ反省をうながされます。また、財産とかお金とかは生きていく道具であって人生の目的ではありません。そんなものに執着することはないのです。

 

こういった話を聞いて、どうですか。すぐには理解できないでしょうが、時間をかけてこの事を、あなた方を導いて下さる高級霊様に教えて頂き再び勉強してみて下さい。ここにいる子孫の者に、いろいろ障ってゴメンなさいと言ってみて下さい。そうすると、もっと心が軽くなりますよ。急には、無理だと思いますがいずれにしても明るい所へ出して頂いたのだから、また暗い所へ戻らないようにして下さい。

 

是非、心の勉強をして下さい。今日は、時間が長くなったからこれで終わりにしますね。また、機会をつくってお話をさせてもらいます。では、さようなら…。

 

これで、Qさんと実家の障りは解決しました。

 

〈後記〉

Qさんの障りを解決して、一週間後にQさんが当院へ治療に来ました。その時の話です。先生、私のお腹の具合はすっかり良くなりました。二十年も悩んでいたのが嘘のようです。また、うつ病の姉も変わったのです。

 

いつ行っても何の話をしても否定的な話題ばかりだったのに、昨日看病に行った時は、前向きな明るい話が多くなり別人のようでびっくりしました。近くに住む義母の所にも寄ったのですが、義母もここ二、三日ものすごく体調がよくなったと喜んでいました。

 

本当に障りというのはあるのですね、障りのことを知らないでいると一生苦しむんですね、と話していました。除霊依頼の電話が、Qさんからは今では全くかかってきません。憑依されなくなったのです。恨みの霊がいると、その恨みの霊が浮遊霊を呼び寄せて多く憑依するのです。

 

[解説]

 

誤魔化さずはっきり書くと、この世の修行はゲームと同じ、クリアできるかどうか、です。心底いい人は、ゲームのコツを意識せずに、自然とクリアしてしまいます。このような人は稀で、ほとんどの人は、あとちょっとでクリアできません。記憶を消した状態で人生をやると、どうしても目の前の欲につられてしくじるのです。失敗です。人間は生まれてくる前に、仮想的に人生をシミュレートして、練習してきます。苦手なところを失敗しないように心の悪い癖がでないように、叩き込んでくるのです。でも失敗する人が多い。簡単には身につかないのです。

 

お金を稼いでどれだけ贅沢をしてもせいぜい人生数十年の間、楽ができる程度です。でも、結局、来世、その次と、それを繰り返すことはできません。また稼いで楽をすればいいじゃないかと思う人もいるかも知れませんが、大神様・親神様に助けてもらった人で、前世が権力者や富豪で、それを何度も繰り返しているひとは見たことがありません。ツケを払うために泣き通しのいいところなしの人生です。

 

もっとはっきり言えば、上の世界に行けば、この世界のどのような贅沢や快楽も比較できないような極楽の世界があるわけです。眼の前の小さな贅沢に目がくらんで、結局何百年、千年と、低い世界をグルグル回っていても馬鹿らしいわけです。

 

どこまで死んだ後の世界を真剣に想像して、今回の人生でクリアするという覚悟を持てるかが重要です。

 

今回の内容は私の推測や考えが入っており、大神様・親神様の直接の言葉ではありません。ですので、みなさんが考えている世界観と違うかもしれません。今の私が悟った限界がこの内容ということで、読んでいただければ幸いです。