当院の患者、田村幹代さん(五十八歳)一族は、結婚できない人が何人もおり、本人も独身だったため、なぜなのか、と神様にお聞きいたしました。それが次の通りです。
大神――この者幹代なる者の身内の者達、それぞれと縁遠きことにより原因なるものがあるかとの問いであるのう。待て。
亡者――ハイ、私です。私はあの家の者ではありません。他人です。私はあの家の屋敷に仕えておりました他人の者でございます。私が邪魔だてしまして、縁のないようにさせています。
私の恨みです。悔しいです。私の体をあの家のだんな様にもてあそばれて、そのあげくの果てに、私はいやおうもなく、追い出されました。その時は、私の体には子供ができていました。
その体で私は家に帰ることもできないので、幾日かどうしようか、困ったと思い、歩き続けておりましたが、でも帰る所もなく、行くあてもなく困り果ててしまいました。そのうちに日も暮れてしまい、目の前に首を掛けるによいと思う木がありましたので、私は腰ひもで首を吊って死んだ者です。私の体さえ身ごもるようなことにならなければ、私は人並に生きていられたと思うと、悔しくて悔しくてなりません。私の恨みです。子孫の人の身をかためることのできないのは、私が邪魔をしてそのように縁遠くさせているのです。私の恨みです。今の人達の縁遠いのも、皆私がさせているからです。私にしてみれば、いい気味だと思いますがね。仕方のないことでしょうよ。
この亡者の人は、こちらから説得するのに苦労しました。若い娘で、感情ばかりで話が理解できず、結局前世の母親の家に連れていってやることで解決いたしました。話していて分からないのが、一番困ります。
幹代さんの方も先祖に代わってお詫びをいたしたわけですが、その時神様が、「先祖がしたことを、他人事のように思っては駄目じゃ。このような因縁の家に生まれるのも、本人にそれなりの因縁があって、その家に生まれるのだから、今世の通り方を心して人様に喜ばれる生き方をしてくれ」と、とてもやさしくご指導くださいました。