弥生晴れの朝、長女が東北の地へ旅立って行った。
昨年私が九州へ赴任したので、家に残ったのは次女だけとなった。
3人4脚で歩み出してから、19年の歳月が流れていた。
すべったり、ころんだりして、心にアオあざを作って涙を流していた日、
「いつかその傷跡が、前に向かって進んだ勲章だったと思える日が来るよ。」
と言った私の言葉を覚えていたのか、旅立ちの前、
「かさぶただらけの勲章になったけど、ずっと前を向かせてくれてありがとう。」
と少しはにかみながら、注いでくれた酒の味は、甘口やったのに、少し塩っぱかったなぁ。
ホームという言葉は場所を示すのではなくて、誰かといる事だと思っていたけれど、3人がバラバラとなってしまった今は、変化する家族の形をしっかり受容したいと思う。
「何を捨てるかで誇りが問われ、何を護るかで愛情が問われる。」
(by Steven Paul Jobs)
今宵は長女の提案で、Zoomで繋がりながら夕食を食べることとなっている。
この先、彼女達が多くの選択を重ねてそれぞれのホームを見つけるまでは、
リモート・ファミリーという新しい家族の形を楽しみたいと思う。