対抗戦の早稲田戦。数々の名勝負が繰り広げられてきた聖地秩父宮での早稲田戦は今日が最後の予定である。（計画通りに改修工事が進めばの話であるが…）。ということで、これを逃したら後悔すると思い現地観戦してきた。

近年の戦績を考えると帝京が圧勝するだろうと思われたが、フタをあけてみれば早稲田の奮闘が目立つ苦しい試合になった。

最初こそオーソドックスに帝京が先制トライを奪って出だしは好調だったが、そこから停滞する時間が長かった。

双方とも規律がしっかりしており、お互いの我慢比べが続いた。ゴール前まで行ってもなかなか崩れず、スコアにつながらない。

さらにその後、帝京は前半終了間際のところでトライを奪い、後半になったら突き放しに掛かるかと思われたが、前半最後の最後で早稲田が見事なキックを見せてアンストラクチャーから劇的なトライを奪う。

帝京ファン目線でも痺れる展開だったので、早稲田ファンからしたらたまらなかっただろう。

7点差とまったく分からない展開になった。

後半に入ると、帝京が早稲田のこぼしたボールをすかさずキックして、そのボールを拾ってトライ。ラッキーなトライだったが、それが後々生きてくる。

再度点差を広げるが、その途中で帝京はラインアウトの精度が低く、綺麗にボールの出ないシーンが続いた。

スクラムは帝京が最初から最後まで優位に運んでいたが、肝心のラインアウトが安定しないのでチャンスを活かしきれない。

逆にこのラインアウトを起点に早稲田にトライを奪われたりもした。

早稲田は持ち前の素早い展開と予測しづらいステップで帝京のディフェンスを切り裂くなど、オフェンスが非常に優れたチームであった。

後半の時間まで早稲田の逆転も可能な状況が続き、早稲田ファンたちの脳内ドーパミンは出まくりで歓声が鳴り響き、すっかりアウェーのように雰囲気に。

ここで逆転劇もありうるという一抹の不安に身をよじったが、ここで帝京が急激にチーム一丸となり、いわばゾーンに入ったような怒濤の勢いを取り戻すと早稲田のディフェンスを力業で崩して帝京がトライをあげた。

始めからこの勢いを出してくれと思ったが、やはり追いつめられてこそ発揮する迫力は凄まじいものがあった。

この勢いは最後まで止まず、さらにトライを重ねると結果的に36-21で勝利。

途中まで手に汗握る好ゲームだったが、最後は帝京の底力を見せつけた。

今回は下馬評よりも苦しみ、帝京の余裕ぶりを早稲田は打ち砕いた。逆に言うと自分たちは慢心できる立場ではないことを知ることができたことは大きな学びだった。

そして技術的には、やはりラインアウトの修正が今後とって大きなポイントなってくるだろう。次に戦う明治は、スクラムでは帝京を上回るかもしれない。その相手にラインアウトも苦戦するようでは、かなり勝利があやしくなってくる。

明治は創部100周年記念として、死に物狂いで対抗戦の優勝をねらいに来るはずだ。こういう時の伝統校は本当に怖い。

迎え撃つ帝京は今日の教訓を活かして、是非とも勝利を掴んでもらいたい。

秩父宮で早稲田と、最後の試合