物心ついて、僕が初めて世界の複雑さに気付いたのはポテトチップスの開け方についてです。

嘘です。

たまたま手もとにポテチがあるので思い出しただけです。

そんなわけでこれを見てください。

ここに開け口って書いてありますよね。

だからこのギザギザを縦に裂くのが正解だと思うじゃないですか？

でも、正解はこの上部を左右に引っ張ることなのです。

皆のことを考えたら普通こうするだろと親にも注意されたことがあります。

ではこの開け口ってなんなのですか？

これが世界の答えではないのなら、

ここに道しるべを示さないで欲しい。

そんなことを考えていたら

どこからともなく声がしました。

「君は物事をなんでも難しく考えすぎだよ」

声のする方を向くとコイツがいました。

ーー今なんか言った？

「言ったよ、もっとシンプルに考えてみてよ」

ーーシンプル…君は僕が間違ってると言いたいの？

「間違ってるとか正解とかじゃないよ、僕が思うにこのギザギザは安全装置みたいなものだと思うよ」

ーーアンゼンソウチ？

「そう、本来は上部を左右に引っ張っる開けた方が正解だけど、袋にも個体差があるし、人間の筋力にも差があるでしょ？そこまで神は責任取れないんだよ、だからこの開け口を安全装置として責任を果たしているんだよ」

ーー神？

「企業のことね」

ーーあ、なるほど…では"開け口"ではなく"安全装置"と記載すべきでは？

「君はあれだね、人と話したいんだね」

ーーうん？なにどういうこと？

「こういうクレーマーじみた討論という形でしか他者と会話できないタイプでしょ？」

ーーいや、そういうわけじゃなくて純粋に疑問に思っただけで、、、

「裂けよ、縦に！そうやって世界を敵に回せばいいだろ！！」

ーーもしかして怒ってる？

「全然怒ってないよ」

ーー本当に？怒ってない？

「怒ってないけど、そうやってしつこく聞かれると怒る」

ーー怒ってますやん…それより君、名前は？

「ポテト坊や」

ーーそれ、本名？

「いや、正式名称はないの…そこには複雑な事情がありまして…」

と、ポテト坊やは照れくさそうに、人差し指を天に向けて言った。

全ては神の思し召し。

ポテト坊やとの対談