モッタイナイ精神を研ぎ澄ました母の言葉がたまに真理に到達する時がある、そんな話です。

学生時代からずっとそうなのですが、
母に買おうか悩んでる服を教えると…

なぜか必ず…

それ、おんなじの持ってるじゃん!

って言われるのです。

色も形も全然違うのに必ず母はそう言うのです。


だからずっと、"母"という生命体は僕ら人間とは視界の見え方が違うのだなと思っておりました。


それなのになぜかいつもその事を忘れ…


ーーこれいると思う?


って聞いちゃうんですよね。

なぜか、別の生命体である母を説き伏せるという過程をクリアすると、その物の価値がグッと高まる気がするのです。


それで、今狙っているレインコートが2つあり、どっちがいいか母に相談したのですが、






母「雨合羽、いる?」






と、シンプルにレインコート自体を否定されました。


ーーいやいや、レインコート持ってないし、これお洒落なヤツじゃん!


母「あんた、考えてみな?雨合羽っていつ着るの?傘でいいじゃん!」


ーーいやレインコートは雨の日とか…これから梅雨の時期だし、てか、まず…雨合羽って言うのやめてくんない?


母「雨合羽でしょ?雨の日に着るんだから」


ーーいや、雨合羽じゃないのよ。お母さんが思ってる感じじゃなくてお洒落なやつなのよ…後、ほら小さなくなってバッグの中にいつでも入れておけて、雨降ったら着れるでしょ?


母「それ、折り畳み傘でよくない?」


ーーいや、折り畳み傘はさー…


母「じゃあその雨合羽を着て電車乗れる?ビショビショだよ?車の中だってビショビショになるし、結局脱いで手に持つわけでしょ?邪魔じゃない?」


ーーいや、傘はさすのよ傘さして雨合羽着るのよ。それでも普通のコートだったら多少濡ちゃうじゃん、でも、雨合羽なら…いらんな、雨合羽…。


そう、この勝負はレインコートを雨合羽と言われた時点で勝敗が決まっていました。


もう、レインコートを雨合羽という人には絶対に勝てないのです。


母っていう生き物はやっぱり偉大ですよね。


確かにレインコートって一体いつ着るんですかね?

母の言うように絶対に着る瞬間短いと思うんです。

梅雨の時期に毎回着てたら、あーまたおんなじの着てるなってなるし…

てことはレインコートを何着も必要になるし…


そもそも雨の日は極力出歩きたくないし、


絶対、傘でいっか傘で。


ってなるんですよね。


レインコートって難しいなぁー


そんなことを思っていると、母はもう僕との雨合羽の話に飽きたみたいで、


夕飯の準備に取り掛かかってました。


そして、肉を焼くジューーという生活音が、僕の物欲のすべてを浄化してくれるのでした。



〜TO BE CONTINUED