ヴィンテージとか古着が好きな人とかよく「味がある」って言葉を使いますが、なんとなく理解出来るけど、あれは10代の女子のなんでもかんでも「かわいい」っていう感覚と一緒で、勿論本当に味があるのかもしれないですけど、とりあえず、「味がある」って言って自分のファッションセンスを正当化してるだけで、そういう人達が下北沢という街を廻しているのだと思ってたんですけど…こないだ下北に詳しい友人と行ったら…下北沢って…アレですね…めっちゃ味がありますね。


本当にいい街。


それで、その日は一人で好きな靴のブランドのお店に行って、僕は前もって買う靴を決めていたので、その靴を指差して「これください」と言おうとして寸前で止めました。


店員さんの履いてる靴がめちゃくちゃカッコよかったんです。


そして、その靴が僕の買おうとしている靴の隣に並んでいるんです。


僕は靴と店員さんの顔を交互にマジマジと見てしましました。


すると店員さんが一言…


「バレちゃいましたか…。」


と言って「この靴カッコいいすよね、履けば履くほど味が出てくるんです。」


と靴の説明を始めました。


僕はその少しウザいけど感じのいい店員さんの話を聞いてしまって、ますます、どっちにするか迷ってしまいました。


気がついたら僕も「店員さんのせいで選択肢が増えちゃいましたよぉー、や~めてくださいよぉー。」とウザい奴になっていました。


そして、凄く迷ったんですけど、やっぱり今回は自分の前もって決めていた靴を買いました。


気づいたんです。


あの店員さんの履いてる靴は、お洒落人達が集うこの街で来る日も来る日も戦ってきた店員さんだからこそ、こんなに味が出せているのだと、僕にはこの味はまだ出せない。


そういう口実で店員さんゴリ押しの真っ赤なローファーをキッパリと断って、感じ悪くならないように僕は店を後にしました。


余ったお金で味のあるTシャツを何着か買いました。


どこか味のある町並みを歩いていると、僕の横を全身真っ白で真っ白なキックボードに乗っている女の人が通り過ぎました。


僕はボソッと「味があるな…。」と呟いて下北沢を後にしました。


帰りの電車の中で、母から突然「腹?」とメールが来ました。


最近、母のメールが簡略化され過ぎていて、僕が「了解」のことをよく「りょ」と送るのですが、母は最近「り」と送ってくるので、たまに本当に分からない時があります。

でも、この「腹?」というのはおそらく「お腹空いてるかい?」という事でしょう。


そんなわけで、母と合流して家の近くのラーメン屋に行きました。


そして、とてもボリューミーなラーメンの汁が自分に飛ばないように神経を尖らせて食べていると、自分に飛ばないことを意識するあまり母に飛ばしてしまいました。


母のお気に入りのデニムジャケットに汁がついて、急いで拭いたのですが、ラーメンを食べ終わる頃にはシミになってました。


帰り道、僕は母の「もっと気をつけて食べなさい」という説教を上の空で聞きながら意識はずっとシミの部分を見つめていました。





デニムについたラーメンのシミがとても…




味があるなって思いました。







こないだ、Rのアキヨシ君の初ライブに行きました!
とてもカッコ良かったです。