ソクラテスの有名な「無知の知」とありますが、自分がその事について知らないことを知っている…その姿勢は本当に人として大切な原点だと思いますし、真理を知るという事には、なかなか答えがないように思えます。



ですが、だからって、「いや、僕はマジで知らないっす、本当に知らないっす、自分マジで無知ッス」って言って、他人は認めてくれるでしょうか?女の子にモテますか??



ですから、僕は知ったかぶりをしてしまいます。



僕レヴェルになると、よりリアルなしったかをする為に、自分でも信じてしまう、一種の自己催眠をかけることができ、時々、これが知ったかなのか、本当に自分は知ってるのか、よく分からなくなります。



そして、しったかを極めた僕達「しったかニスト」はしったかに出会うと、身体中が痒くてたまらなくなります。


あーーあーぁーって痒いぃーーってなります。


うわぁーー、この人、気負ってるよ、絶対気負って、見栄はって、しったかしてるよって、痒くてしかたがありません。



とても見ていて痒いのです。



しかし、こないだ全く痒くならない「しったか」に出会いました。正直、これが「しったか」の本来のあるべき姿なのだと、いい意味でショックを受けました。



綺麗なしったかでした。



バスの中、僕の前の席でおばあちゃん二人がなにやら楽しそうに話していました。



「そうそう、そういえばさ、あなたの今ピッとやった定期ってさ、いくらぐらいなの?電車もピッとしてたわよね?」


「これねぇー、定期と全然違うのよぉーー、チャージしてるの!」

「なにそれ、定期とどう違うの?」


「全部違うの!定期じゃないのよ!お金をね、駅でチャージしてここにいれるの、便利なのよぉーー。」


「ふーん、よく分かんないわー、何て言うの?」


「これはね.....ポスモっていうの!」




.....パスモです。




「だめだわぁー、あたし本当についていけてないもの、あなたって凄いわよねー。」


「ヒァハハハハ、これは娘がやってくれたのよー、私も出来ないわ、でも、覚えちゃえば簡単よぉー、あなたも変えたほうが便利よぉー。」


「あたしに覚えられるかしら?」


「覚えられるわよ、簡単よぉー。」


「へぇーー、じゃあ、あたしも変えようかしら.....コスモに。




....だから、パスモです....コスモってなんか宇宙みたいになってるじゃん。




「コスモじゃなくてポスモよ!ポ・ス・モ!!」


「ポスモ??難しいわねぇーー、ヒァハハハハ。」



.....もう、一度カードの方ちゃんとご覧になってください。



「でも、本当に変えたほうがいいわよぉー。」


「それって、電車もバスもおんなじので乗れるの?」


「そうよー、これ一枚よぉーー。」


「孫に聞いてみようかしら、ちょっとみせてくれない?」


「いいわよぉー」



そして、おばあちゃんの持ってるカードがチラリと見えました。












.....Suicaでした....。