◆いまいちど三国志について記させていただくべし | 曹魏【三国志】正史・史実研究

◆いまいちど三国志について記させていただくべし

三国志の小説やマンガを歴史でそうであったことだと認識されているようなのを見ることがあったので、改めていまいちど三国志について簡単に記してみました。


日本人にとっての三国志は、脚色された架空のお話もある「三国志演義」に基づくことが多いが、それは本当の歴史を書いた物ではなく、描かれている人物も、実際の人物像とはかけ離れている場合がある。古くから現在、三国志と呼ばれている本が2種類あり、ひとつは歴史の本の「正史三国志」で、もうひとつは小説です。小説の物語の方は「三国志演義」と言うのが本当の題名なのですが、私たちの国ではこれも「三国志」と呼ぶので、ごっちゃになっています。


「三国志」は、晋の時代に陳寿という人物が著した正史であり。正史とは、南北朝時代(420~589)にできた概念で、国家によって正式に認められた、紀伝体で書かれた歴史書のことです。司馬遷が著した「史記」に始まり「明史」までの二十四史が一般的です。

紀伝体とは、帝王の「紀」と人物の「伝」が中核になる記述方法です。ほかにも時代順で記述する方法があり、編年体と呼ばれています。


「三国志演義」は、三国志の時代からだいぶあとの時代の元末に書かれた羅貫中の作の小説です。一概に「三国志演義」といっても、出版された年代によって内容の違いが大きいらしく、現在一般に流布しているのは、清時代(1644~1912)に毛宗崗(もうそうこう)が修訂したものといわれています。


この「三国志演義」が小説になるうえで、作者が史実を参考にした諸箱は、正史の「三国志」ではなく、北宋(960~1127)の司馬光らが著した編年体の歴史書「資治通鑑」の簡易版であると考えられている。ですから、よく「正史三国志」と「三国志演義」が単純に比較されるが、本当は「資治通鑑」も参考にしなければ意味がないのです。


ほかにも参考にしないとならない三国志関係の小説に、元時代に書かれた「三国志平話」というものがあります。三国志演義よりも古い時代に書かれたものなので、当時の人々の三国志観を知る上で参考となります。また、三国時代の前の時代の「後漢書」や、後の時代の「晋書」があります。


日本語で全訳を読める陳寿の著した「正史三国志」は、小説やマンガでは知り得ない英雄たちの秘話や真実に触れることができるでしょう。