僧侶のエロジャーナルSOMEDAY! -3ページ目

肉・食・獣

昔から僕は、空気を読めずに幾度も苦しんできた。
もちろん今だって100% 読めるわけではない。
むしろ、80%は読めない。
それでも、社会にもまれ、人にもまれ、
おっぱいを揉んで、僕は少し自分の成長を感じていた。

先日、急激に女の子 と遊びたくなった。
男子諸君!なら、一度は感じたことがあるのではなかろうか…。
そう!その感覚だ。

しかし、毎回遊んでいるような女の子というのも
どうなのだろう…。それでは、新鮮な楽しさは得られない
のではないだろうか。

毎回遊ぶ女の子など一人もいない僕は、
そんな贅沢な思いを巡らせる。

そして、思いついたのが、
中学の時の同級生 だった女子の一人だ。
その子は、生徒会で一緒だった女の子で、
学年で1、2番目に成績優秀な子だった。
ちなみに、中学の時にはその子に対する劣情は
何一つ持っていなかった。

何故その子と会いたくなったか…。
数か月前に遡る。
とある事情で、
その子と飲む機会があった。
その時に僕は気づいた。
彼女が「へー、そうなんだー」
と言うと、口の形がアヒルの形になるのだ。
その口がめちゃんこ可愛い のだ!!

その子自体がめちゃくちゃ可愛いわけではない。
しかし、アヒルの口が出た瞬間に、
みひろレベルで可愛くなる。

(注1 みひろ…蒼井そら などの一世代下のアイドル AV女優。スゲー可愛い)

僕は、口が好きらしい。
人間的魅力のいま一つだった井上和香が
一時期僕のマイブーム だったのも、
完全に口めあてだ。
しかし、井上和香と付き合うことができなかった僕。
口への情念は増していくばかりだ。

その僕に、こんなアヒル口を見せたら、
そら欲情するでしょうよ!

そんなドロドロした気持ちを胸の奥に隠し、
アヒル口にメールする。

週末にメシでも食いませんか。と。

すると、メールがなかなか返って来ない。

もしかして、下心がバレたか!?
そりゃ、25になった男子が2人でメシ食い行こう。
とか言ったら、警戒するよな!
とか、なんか色々考えた。

すると、悩み苦しんでいる僕にユウガットメール。
アヒル口からだった。

そのメールによると、
どうやら友達と遊ぶ予定だったけど、
その子がいてもいいなら大丈夫。
ということだ。

なるほど、とりあえずこのメールで分かったことは、
この子は僕に惚れていない、ということだ。
遠巻きに、「今日はあなたを抱きませんよ」
そう言われたのだ。
少々テンションが下がる僕。
しかし、こちらから誘った手前、
断りづらい。
というか、友達いるからって断ったら、
何か下心丸出し過ぎて、さすがの僕も恥ずかしい。

ということで、もしかしたらそのアヒル口の
友達の女の子と仲良くなれるかも知れない…そんな希望を抱き、
三人で遊ぶことを承諾した。

そして当日。
高円寺で約束していたのだが、
前日までの仕事の疲労 と、
どうせ今日はセックスできるわけじゃねーしなー…
という、ある意味絶望で、ダラダラとし、
約束の時間を一時間半はオーバーして現場に赴いた。

そして、アヒル口に着いたむねをメールで伝える。
すると、飲んでいる店を教えてくれる。

その飲み屋に足を踏み入れる。
と…辺りを見回す。
よくあるような飲み屋。
席数は30くらいだろうか。

と、こちらに手を振っている影が見える。
アヒル口だ。
僕はそちらの方に足を踏み出す。

と、アヒル口の前に座っている人がいる。
どうやら彼女の友達だ。

僕はどんな顔だろうと思い、
その子をしっかり見る。
褐色の肌。がっしりした体躯。短く刈り上げた髪。鋭い眼差し。

男。

そう、男だったのだ。どう見ても男。どう考えても男。
100%中の100%男。男の中の男。

おい!話が違うじゃねーか!
叫びだしたい気持ちを、
2年近い社会人としての積み重ねをフル稼働して、
必死に抑える。

笑顔で席に座る僕。よく見れば笑顔は確実にひきつっていただろう。

軽い挨拶を済ませて、改めてその男を見る。
褐色の肌。がっしりした体躯。短く刈り上げた髪。鋭い眼差し。
やっぱ男かー。

しかも、超文科系男子の僕が完全に苦手とする、
体育会系男子だ。

と、アヒル口は別に悪びれる様子もなく、
普通に話しかけてくる。
まあ、緊張せずに済むからいいか…などと、
意味のない慰めを自分に投げかけ、
二人と話し出す。

話してみると悪いやつじゃない。
そこそこ話せる男子だった。
若干自分の話ばっかしすぎだが、そこまでウザい感じでもなかった。
まあ、いいやつだからどうしたというわけではないが。

と、しばらく話していくうちに、
この体育会系とアヒル口が
まだ1、2度しか会ったことがない(今回を合わせて)
ということを知った。
つまり、運の悪いバッティングであるということだ。

そして、しばらくすると、アヒル口がトイレ に行った。
僕と体育会系の二人きり。
こいう時に若干気を遣ってしまう僕は、
何か会話をせねばいかん!と思った。

しかし、こんな根っからの体育会系みたいな男子と
共通の話題 など皆無に等しい。
体育会系男子との会話で路頭に迷う僕。
そこで思い出す。
先ほど、会話の中で、この体育会系褐色男子が、
最近彼女と別れた…という話をしていた。

そして、その彼女とは元々友人で、
その友としての付き合いを経て、
恋人になったらしい。

なるほど。
友達→恋人だったら、僕は実体験から
話ができる。むしろ得意分野だ。かかってこいや!

そんな、武器を手に入れた僕は、
体育会系筋肉バカに話しかける。

「さっき言ってた元カノって、友達から恋人になったんですよね。付き合い出したきっかけって何だったんですか」

「ああ。付き合う前にヤッちゃったんですよ」

その時の声色。表情。仕草。
全てが物語っていた。
こいつ、肉食男子だ。

肉・食・獣!

さっきまで、無邪気な熱血体育会系バカみたいな
顔をしていたのに、その瞬間、狼が顔をのぞかせる。

そして、僕は悟る。
ああ。こいつ、アヒル口とヤリにきたな…と。

確かに、僕も下心はあった。
しかし、勘違いしないで欲しい。
僕はあくまで雑食男子。
抱いてくれるのなら黙って抱かれるが、
抱いてくれないのなら自分から抱きにいくことは無い。
何故なら、そんな勇気が無い。

しかし、この肉食体育会系バカは、
完全に抱く気マンマン様で来ていたのだ!

僕は気づいた。
(そうか、今日邪魔だったのは俺だったのか!)と。


そう。空気を読んでしまったのだ!

そして、アヒル口もトイレから帰り、
しばらく話してから、二人の電車の時間を訊くと、
もう終電は無いそうだ。
二人とも泊まりコース。

僕は「そろそろ帰ります」
と口にする。

その時、肉食獣は「え?もう帰るんですか?」
と言いながら、これ以上無いくらいの喜びを
顔いっぱいに表現していた。


僕は、あの顔を一生忘れない。



帰りの電車に揺られながら考える。
アヒル口は、何故僕が来ることを承諾したのだろう。
つか、セックスしたんだろうか?
いつか、聞かねばなるまい。

とりあえず、その時にできたこと…。
それは、肉食獣のために空気を読んであげた
自分を誉めてあげることだけだった。



おわり

渇き

年上女子。いつだって彼女達は、僕らの憧れ。
甘えさせてくれそうで、頼りになりそうで、
それなのに実はスゲー可愛い女子の一面を持っている存在に、
僕らはいつでも夢中だった。


先日、年上の女子と遊んだ。
その年上女子とは、前に勤めていた会社の先輩。
彼女は僕が入社して一ヶ月で退職されたのだが、
何だかグダグダと連絡を取り合っていた。


ちなみに、年の頃なら30ちょい。
肉食女子と、オタク女子の要素を兼ね備えたハイブリッド女子だ。

その年上女子(元先輩)が、
先日メールを送ってきた。


その前から、そのうち遊ぼうね的なお誘いはあったのだが、
金がなかったり、予定があったり、金がなかったりで、
完全に予定を決めてはいなかったのだ。

そして、ずるずる延ばしていると、
あちらの方からユーガットメール!


完全に業を煮やした形で誘ってきたのだ!


先ほどから僕は、その年上女子を避けるような
書き方をしている…そんな印象を持ったあなた!


……半分以上正解!!


女子が大好きな僕。
しかし、根っからのドM&自己中心的一人っ子。
なおかつ、ビビりな僕は、
女の子を誘うことはあっても、
女の子から誘われるとビビってしまうのだ!

しかも、年上の元会社の先輩。
色んな要素が僕をビビらせる。


しかし、ちょっと待てや!


シナリオライターを目指し、
日々面白いことを求めているはずの僕が、
女子と遊ぶくらいでビビってどうする!?

つーか、恋のABCくらいぶちかましたれや!

…と、僕の心が叫んだような、そうでもないような。


ともかく、遊ぶことを承認。
決戦は来週の土曜日!


元々映画を観に行く予定だった僕ら。
予定を立てるとしたら、映画を観て、酒でも一杯ひっかけて、
そんで白々しく

「ちょっと飲み足りないからさ、この後うち来て飲まない?」

とか言って、家に呼ぶとかいうプランだろう。
よし!完璧!


僕は思っていた。

しかし、その週…年上女子(元先輩)から
ユーガットメール!

「ごめん。仕事が終わらなくて…。遊ぶの日曜でもいいかな?」


終わった…。
僕のプランニングは、とある年上男子(元会社の先輩)から
教わったもの…。しかし、それはあくまで翌日が女子にとって休日で
ある場合のみ。


こんな想定外は聞いてないっすよー!


半ば以上、年上女子(元先輩)を抱くことを諦めた僕。
すっかりやる気が失せた。


そして、年上女子(元先輩)から、
映画何観る?そっちで決めて。
という旨のメール。


クッソ…何か、急激にめんどくさくなってきた。


僕は、心の中で悪態をついていた。
分かる…。最低なのは分かっている。
しかし、この15年目の思春期を迎えている僕にとって、
年上女子に抱かれてみたいという感情は、何にも勝るのだ!


と、まず選んだ映画。
それは、『時をかける少女』。
前から観たかった映画だ。
アニメ版でもヒロインの声優をしていた仲里依紗が主演の、
期待大な映画。


しかし、何だかピンとこなかった。

と、次に候補に挙がった映画。
それが、『渇き』。
オールドボーイなど、復讐三部作を制作した韓国の
監督さんが作った映画。

明らかにクオリティーが高い。
監督の名前はもちろん、予告編でもその面白さが
うかがえた。
しかも、何だかエロい。

男優と女優…いや、俳優さん同士の絡み合いが妖艶。
分かっている。日曜日では、僕と年上女子(元先輩)が
絡み合うことなど無いことを!分かっている!
だが、そのほんの少しの可能性に賭けてみたいんだ!


僕は、これを観ましょう。
と、年上女子(元先輩)に提案した。


そして当日。
新宿駅で待ち合わせ、映画館に向かう。


映画館で『渇き』はそれなりに大きく取り上げられており、
雑誌の掲載記事が張り出してあった。
それを見ている年上女子(元先輩)。

そこにはこの映画の評価が星の数で評価したあった。

笑い…★★★
暴力…★★
官能…★★★★★


おーーい!

マズイ!エロが目的だとバレてしまう!


「あ。オールドボーイって知ってます?」

僕は、年上女子(元先輩)がその記事をなるべく見ないように、
薄い映画の知識を披露して、何とか注意を引き離した。


そして、まだ上映まで時間があったため、
僕と先輩は休憩場所で並んで座って話していた。

また、その距離がちけーんだ!
先輩!明らかに分かってやってるでしょ!
…くらい、ちけーんだ!


と、そんな近い席で楽しい時間も終わり、
開場の時間。
劇場内に入り、席に着く。

相変わらずドキドキする、女子と二人並んで映画を
観るという状況。

今年で26なのに、16の頃からあんま変わってないなー
…いや!僕が初めて女の子と二人で映画を観たのは20歳になってからだ!
何て遅まきの青春!

とか、色んなことを考えているうちに、
映画スタート。

暗くなる劇場内。
何だか微妙な緊張感。
予告編はなんなく終わり、
本編が始まる。


そして、映画は…
エロかったー。特に中盤前。
エロくてエロくて、僕は後悔した。

これじゃあ、狙いがバレバレじゃねーか!
恥ずかしい!

しかし、後半に奇跡が起こる。
エロさより”笑い”や感動の要素が勝ってきたのだ!


よっしゃーーーーっ!


最後まで観終わってみると、可愛らしい純愛の物語。
そして、本当に質の高い面白い映画だった。

劇場から出る二人。
先輩は言う。
「最初、何でこの映画選んだんだろう?って思ったよー」

すいません。下心です。

「でも、途中から笑えて良かった」

何だか、ホッと一安心の僕。


と…そこで気づく。
問題はこれからだ。

時刻はまだ21時。
ここで帰るのは何だから…

「何かお腹空いたねー」
僕が思案していると、先輩が先手を打ってきた。


僕たちは、近くにあった焼き鳥屋に入る。

一息ついて話す僕ら。

お互い酒も入り、饒舌になっていく。
歩んできた人生などを話し始める。

と、ここで途中で先輩が僕に聞く。


「下の名前ってなんて言うの?」


「○○ですよ」


「じゃあ、これから○○君(下の名前)って呼ぼう」


えーーーーっ!?
ドラマじゃないっすか!
続けて…


「私も苗字で呼ばれると会社みたいだから、名前で呼んでよ」

えーーーーっ!?
ドラマっすよ!これ!


これは、明らかにOKだ!つーか、
何か恋の予感すらする!


そして、帰る雰囲気。
まだ10時半…。
しかも、どうやら彼女、
僕のうちと近いところに住んでいるらしい。

僕がバガボンドの伊藤一刀斎の名台詞を
教え、漫画を貸すと言ったら、
「今度家に取りに行くからー」
と、言われた。

完璧だ。完璧過ぎるぞ!


しかし、惜しむべきは今日が日曜だということ。
日曜日め!こんなに日曜日を憎んだのは、
会社勤めをしていた時の、20時以降の日曜日以来だ!

電車の中で他愛無い話をしながら、
帰る僕ら。

それでも、次への可能性を確信した僕。
焦りはない。


しかし、年上女子(元先輩)の降りる駅が近づいてきた時、
彼女はこんな言葉を吐いた。

「今度、また飲みに行こうよ。△△も誘ってさー」

えーーーーっ!?

いやいやいや!

えーーーーーっ!?

僕の心は困惑した。


△△とは、これまた元会社の先輩の男子。

別に普段なら三人で飲もうと三百人で飲もうと良いのだが、
良いのだが…え?次回もセックスは無しってことですか?


それじゃあ、今日の思わせぶりな言動の数々は…?


困惑する僕の小さな頭。

「それじゃあ、じゃあねー」

いつの間にか彼女の降りる駅。
頭を抱えた僕は、ポツリと電車に残された。



そして、家に帰った僕。
年上女子(元先輩)とキスすることを想像し、
二回シコった。


年上女子…いつだって僕らの憧れ。
そして、いつだって僕らを惑わせる。


おわり