あらかじめの運命 | 僧侶のエロジャーナルSOMEDAY!

あらかじめの運命

先日、仕事帰りのレンタルビデオ屋さん。うっかり油断して延滞し
たエロビデオを返却しに行った。

延滞料金300円を支払い、恥ずかしさを胸に抱いて帰ろうとする


と、レンタルビデオコーナーの出口付近には時代遅れのゲーム機。
... その中で目についたのが、そう!
『太鼓の達人』だったのだ!

ちなみに『太鼓の達人』とは、ゲーム機から流れる音楽と映像にあ
わせて太鼓を叩くという、画期的なリズム感ゲームのこと。

何故かは分からない。
暑さのせいか?仕事のストレスか?
他のことでうさが溜まっていたのか?
僕は、猛烈に…猛烈宇宙交響曲級に、太鼓が叩きたくなる。

僕は、コイン投入口に100円を入れた。

と、そこで昔のことを思い出す。
それは、中学生の頃だったか…。
太鼓の達人がムーブメントを巻き起こしていた頃。
何と、太鼓の達人にプレイステーション版が登場!

僕は非常に欲しかった。
近くのゲームセンターには、
パチンコとパンティーが景品のクレーンゲームしかなかったので、
太鼓の達人などプレイしたことはなかった。

じゃあ、何故プレイステーション版が欲しかったのか?
それは、ある格闘漫画で、強い奴はリズム感が良い!みたいなこと
が描いてあったから。

ちなみに僕は美術部。

しかし、問題が一つ。
僕はプレイステーションを持っていない!
セガ・サターン派だったのです!
ファッキン湯川!

だけど、その諦めなさはほとんどビョーキ!

僕には、『相方』と呼ぶ程の友人がいました。そして彼は、プレイ
ステーションを持っていた。

となれば、手段は一つ。

太鼓の達人を購入し、相方の家でプレイする!それっきゃねぇ!
しかし、太鼓型のコントローラーまで必要なこのゲーム。
当時の中学生にとってみれば、破格すぎる価格!

だが、相方にこの話を持ちかけると、同じく太鼓の達人に興味を持
っていたらしく、共同で購入することが決定。
きっかり半額ずつ。

やった!これで太鼓の達人ができる!
これで強くなれる!
ひゃっほい!

だが、ことはそう上手くはこびはしなかった。
何故なら、そんな毎日相方の家には行かないのだ。
行かないならできない!答えは明快!
しかし、相方はやりたい時に太鼓ができる。
確か半分金出したはずだが、これはもしかして、
公平じゃないんじゃ!?
助けて!センターマーン!

そして、そんな日々が続くと、不思議なものであの頃持っていた情
熱も
いつしか消えていく。

それから数年が経った。

ある日相方に聞く。
「太鼓の達人どうしたん?」
「売ったれや」

一言あってもええんちゃうんかい!!?

そして、現代。
目の前で太鼓の達人が始まる。
まずは難易度の選択。
「かんたん」にしたかったが、男の意地で
「ふつう」を選択。
次に曲を選択。
太鼓の達人の良いところは、
流れる音楽がスゲーいっぱいあることだ。
懐メロから最新POPからより取り見取り。

数十秒悩んで選択した曲は、そう!
木村カエラの『Butterfly』。

バーターフラーイ今日はー♪

流れる音楽。
僕は、画面に出てくる映像にあわせてバチを叩く。
絶対できないと思っていた。
自分に、リズム感なんてないと思っていた。

だけど、できてる!
何だかうまいことできてるよ!
すげー!!

調子が上がる。
テンションが上がる。
腕をふるう!!
汗はほとばしる。

ドン!ドン!ドンドンドン!!

……終わる。

気持ちいいーーーっ!

あの頃得られなかったもの。

何故僕はあの頃、1万円近く払って太鼓の達人ができなかったのか

それは、ただただ、やるべき時じゃなかったのだ。

仕事帰りのサラリーマンだからこそ、
たった100円で味わえるエクスタシー。

時はきた!!

そんな風に思ったりして。