この世は内に煩悩があり、外は苦しみを耐え忍ばなければならない俗世であることから「忍土」と漢訳され、自由のない世界は「娑婆世界」や「娑界」と呼ばれた。
そこから、江戸時代の遊郭では吉原を「極楽」に見立て、吉原の外を「娑婆」と言うようになった。
しかし、拘束されている女郎達の立場からすれば、「娑婆(吉原の外)」は自由な世界にあたるため、本来の意味とは正反対の意味として使われるようになった。
現在では、軍隊や刑務所、隔離病棟などの拘束を受ける場所と外の世界を対比して、自由に過ごせる外の世界という肯定的な意味合いで娑婆と表現するようになっている。
