-第1章-
今、俺はあの時の場所に立っていた。
夏の暑い日差しや、蝉達の声はないものの、ここはあの時の場所だ。
終わりを告げようとしていた、春の心地よい風が頬を撫でた。
『消えるかもしれない』
心にその言葉が深く染み渡った。
彼が姿を消してから、もう10年がたとうとしていた。
今は何をしているのか、今までどこにいたのか、会ったら、それらを問いただそうと思う。
彼のあの時の顔は、今でも覚えていた。
全てを蔑むような、それでいて、悲しい何かがあった。
思い出す度に、胸の奥が締め付けられた。
冷たい風が、全身を通り抜けていった。
-続く-
今、俺はあの時の場所に立っていた。
夏の暑い日差しや、蝉達の声はないものの、ここはあの時の場所だ。
終わりを告げようとしていた、春の心地よい風が頬を撫でた。
『消えるかもしれない』
心にその言葉が深く染み渡った。
彼が姿を消してから、もう10年がたとうとしていた。
今は何をしているのか、今までどこにいたのか、会ったら、それらを問いただそうと思う。
彼のあの時の顔は、今でも覚えていた。
全てを蔑むような、それでいて、悲しい何かがあった。
思い出す度に、胸の奥が締め付けられた。
冷たい風が、全身を通り抜けていった。
-続く-