俺等見届け屋。

アナタの最期を、見届けますー・・・



* * * *



人ってのはやっぱり、1人で逝っちまうのは寂しいもんでね。

誰かに見届けられて死んでった方が、それなりに怖さも薄れるだろ?

そんな時に駆けつけるのが、俺達見届け屋。

どんな方でも、最期までお見届けいたします。


      ~ Ⅰ ~


『ねぇ、私の最期を見届けてくれる?』


それは少女からの1本の電話だった。

時刻は日付が変わろうとしている寸前。空にはぽっかり浮かぶお月さん。

「・・・・今からでしょうか?」

哉江は静かに言った。

『・・・・うん。』

1つ間をおき、少女の物悲しい声が返答した。

「では、また後ほど」


プッ・・・・ツーツー・・・


「・・・さって、ほら。行くぞ」

「イエッサーっ」

2人は黒い装束を羽織、暗い裏路地へと消えていった。


    ~ Ⅱ ~


見届け屋には、もう1つ“別名”があった。

それはー・・・・



「ちゃんと来てくれたんだ。」

少女はニコリと笑みを浮かべた。

「依頼はちゃんと守らないとだからねっ」

晋司が同じような笑みを浮かべて言った。

「晋司、いつまでも浮かれてるんじゃねーぞ。」

哉江は後ろから釘を刺しておいた。

「うっ・・・わ、わかってるよ・・・・・さってと。」

2人は少女から1歩下がって、哉江が問いかけた。


「俺等見届け屋。依頼人の道理に背く事はないが、ただ1つ問う。『この世に未練は残していないか?』」

少女は大きく目を見開き、哉江を見つめてから。小さく首を横に振った。

「うぅん。いいの、マミはもうここにいちゃいけない子だから。もうここには残れない子だから。」

少女は弱々しく笑った。いや・・・もしくは泣いていたかもしれない。

「・・・ならばいざ逝こう。アナタの最期の時がために・・・・。」

哉江が手を翳した瞬間、少女は光りに包まれ、そして・・・・・消えてしまった。

「・・・・・・。」

「・・・晋司、これは依頼人が決めた事。俺等に口出しはできないんだ。わかるか?」

「・・・うん。」



見届け屋、別名“死神”

その漆黒の装束は、死神さながらの姿だった。


* * * *


これは先代の見届け屋がしていた話。

けど、俺たちは違う。こんなことはしないさ、人生はハッピーに終わらせてやるぜ。

俺等新・見届け屋がなっ!




見届け屋⇒第1話に続く・・・・。