医療用ウィッグを取り扱いだした頃は、患者さんの自毛が伸びてウィッグを外して、ご自分の髪での生活が始まれば、その患者さんは地元の美容室や治療前にお世話になっていた美容室に戻られるのだと思っていました。

 

 もちろん、ウィッグをお作りさせて頂いた患者さんの全員が自毛になっても通って下さるわけではありませんが、普通の美容室より固定客になる可能性は高い気がします。

 

 人生の中でショートスタイルをしていなかった方も多いのですが、ウィッグを外す時は、短い髪形になりがちです。

 

 

 あまり経験の無かったショートスタイルは、皆さんどうして良いかわかりません。

 

結局、私の好きなようにスタイル作りをさせていただいています。

 

そのショートスタイルは、評判の良いことが多いようで、「怪我の功名」と患者さんに言われたりもします。

 

 患者さんは、今までやったことのないショートスタイルを周りの方に褒められてしまうと、他の美容室に行くの気にもならないようです。

 病気のことも把握してくれて、評判の良い髪形を作ってくれる美容師だったら、いつまでもお世話になりたくなりますね。

 

 

このことは私のお店では普通のことです。私がウィッグをお作りさせて頂いた患者さん以外の他社製ウィッグをお使いで自毛デビューからのご相談の方も、そこから通って下さり顧客になる方も多くなってきました。

 

 

 私はそもそも普通の美容師です。ショートスタイルはもちろん大好物であります。(笑)

 

スタイリングを細かく提案します。ちょっとしたブローのコツ、ワックスのつけ方などもお教えします。

 

 少しずつ伸びていく髪の先々のヘアースタイルの提案もちょこちょこ説明します。

「次回はパーマをかけましょう!」と私が気に入っているエアウェイブもオススメしています。

 

 お会いするたびに、「伸びましたね~!」と励ますように声をかけます。髪が伸びることを皆さん励みにされています。

 伸びた髪をなるべく傷みの少ない施術で違和感の無いヘアースタイルを作ります。

 

 

私のような患者さんにウィッグを製作する美容師の全員が、顧客として定着する確率が高いわけではないようです。医療用ウィッグの先輩美容師さんたちを見ていても、定着していない技術者もたくさんいます。

 

 勿体無い話だと思います。

 

今はパート美容師さんが二人来てもらっていますが、増えていく顧客に年内に30代の技術者さんに働いてほしいと思っています。でも、どこも人手不足ですね。

 

 

 医療用ウィッグの仕事をしていても、最終的には美容師としての総合的な仕事力がものを言います。

 

 人のためになって、尚且つ面白い仕事です。