先日、若い青年が、両親を殺めた事件の判決が出ました。とても胸が苦しいです。判決は厳しすぎると思いました。
もちろん、いかなる事情があろうとも、人を殺めることは、許されることではありません。しかし、このような毒親を持つ子は、本当に、ひとり孤独に、追い詰められていくのです。
この事件は、「教育虐待」に「身体的虐待」が絡んだ、非常に危険な毒親の元で起こった事件ですが、これも氷山の一角です。
高学歴、エリート職の家庭内で、多く見られるケースです。暴力まで絡むものが、どの位かは、私も正確にはわかりませんが、かなり暴力に近い制裁を伴っている家庭は、意外と多いです。
今まで出会った人の中に、「教育虐待」の家庭だった人が、何人かいました。
その当時は、「厳しい親だな」位にしか思いませんでしたが、自分が機能不全家族から脱出し、毒親と呼ばれる人達の実態を知ってからは、改めて、その深刻さに気づきました。
暴力などで、親の要求を一方的に飲ませるような親は、毒親の中でも、非常に危険レベルです。
あなたの心に甚大な被害をもたらし続け、命の危険もあり得ます。こういったケースの場合は、一刻も早く、その状況から脱出するために、何ができるか、模索していく必要があります。
あなたのことを少しでも理解してくれる人(信頼できる大人)を見つけ、また証拠を残し(音声、動画や日記などに記録する)公的な専門家などに救助を要請しましょう。
あなたを守るために、あらゆる手立てを周りの人を巻き込んで、考えなければいけません。
逃げられないかもしれないけれど、逃げてほしいです。逃げられない年齢や状況なら、加害者ではない側の親が、子を守る手段をできるだけ早く行動に移す必要があります。
自分の妻や夫が、子に犯罪レベルのことをしていて、話し合いで解決できない場合は、親であるあなたがまず、子を守る積極的な対策を講じなくてはいけません。放置や容認は、共犯と同じです。
悩んでいる場合ではありません。子をその場しのぎで慰めている段階でもありません。すでにレッドゾーンに達している場合は、子を連れて、安全な場所へ緊急避難するのです。
昨今の事件のように、身体的虐待、教育虐待、過干渉、共依存などあらゆる毒親問題は、非常に難しい問題ですが、家族、親族、学校、行政、地域、社会、国レベルで対策網を構築していかなければ、いけない案件です。
しかし、周りへ窮状を伝えることが、とても難しいのです。
家庭という密室の中で起こること、親子関係であること、多少なりとも愛情も持ち合わせていること、毒親は、「子の為」と真から思い、良いことをしていると思い込んでいます。
さらに毒親自身が、被害者意識や、世間体、ステータスを気にするACなので、家庭内の問題を、湾曲して周りに伝えること(親からの一方的な内容説明だったり、親族には「良き夫、良き妻」を演じた上での発言だったり、愛情ゆえの行為だと言って、行き過ぎた行為を正当化するなど)、真実は、当事者間でしか分かり得ない事情が、大きく絡んでいるのです。
子は親に対しての罪悪感や、さらなる報復への恐れがあるので、真実を言えない、支配されている状態、親のことを悪く言いたくない、など、多岐にわたる要因から、なかなか明るみに出ません。
これが、毒親問題の深刻さ、根深さ、実態であり、まだ世間に、広く認知されていない状態です。
さらに、毒親だけでなく、機能不全家族を取り巻く親族自身も、ACであったりします。そして毒親問題の認知度も低いのです。
ただでさえ家庭という密室内で起こる問題で、周りからの介入、正確な状況把握が非常に難しいです。
ちょっとした情報だけで物事を決めつけられたり、今までの社会通念や、固定観念等で、年齢が上回る親族達が、逆に諭したりなど、毒親の味方をするケースが多いのです。
だから、当事者(子である被害者)は、余計に孤独に、たった一人で、大きすぎる問題を抱えたまま、生きていくことを強いられます。
「愛情はあったんだよ。」「親も大変だった。」「不器用だから。」とか、もっともらしいことを言う人がいますが、愛情を持っていても、親に事情があっても、愛を伝えるのが苦手な人でも、人として最低限やってはいけないことを(暴力や、強要することなど)子にする権利は、親と言えども、ありません。
愛情があれば、何をやってもいいのか、という話です。
血縁関係、「愛情」を引き合いに出して、子の罪悪感を刺激してくるから、余計に、当事者は何も言えなくなるのです。(無意識に、相手の罪悪感を刺激するのは、毒親の常套手段です。)
私は、そのような人を守るための、シェルターのような場所や人、組織が必要だと感じています。
条例や法律もまだ不十分で、改変する必要があります。親からの暴力を、暴力罪として早急に逮捕できたり、執拗な親に対しては、接近禁止命令を発令できるようになってほしいと願っています。
民間企業でもいいから、そのような人達を助ける組織、機関のようなものができて、認知度と実績を高め、行政、県、国にまで波及させていけないものでしょうか。
ひとりひとり、ぜひとも考えてほしい問題です。
これからの時代は、病気も犯罪も、未然に防いでいく世界へと移行していく段階に入っていくと思います。
今でも、「教育虐待」の上で、エリート職に就いた人の、本当の自分を生きていない悲し気な姿が、目に焼き付いています。自分の人生に満足していないはずなのに、もっと親の為に、ずっと頑張り続けようとする、優しすぎる人を過去に見ました。
また一方で、親の強要に屈せずに激しく抗い、自分の道を獲得した人も見ました。
自分の為にできる限りの力を振り絞って抗うか、自分の意思を諦め、服従したまま親の望む人生を生きるか、あなたならどうしますか?
私は40年余り、親の操り人形をした後、たった一人の助けを借りて、ひっそりと、数年かけて、その環境から脱出し、自分の人生を獲得しました。