過去記事(2022年12月分:回復ステップ④)で、感情に声をかけること、受け止めてあげることの大切さを書きました。感情を認めることが出来るようになってきたら、「感情をしっかりと味わう」ということも、とても有効な方法です。

 

 数年前に私は、とある講座で「認知行動療法」を取っていました。その講義の中にあった話ですが、氷水に手をつけたら、どうなるか、というもの。

 

 普通は、「冷たいっ!!!」と感じて、すぐにそこから手を抜くと思います。氷水の冷たさに耐えられません。

 

 ところが、この、氷水に手をつけた時、手の感触などを、ひたすら実況中継してみるのです。口に出しても、心の中でも構いません。

 

 「手の全体が、ビリビリして痛い」とか、感覚に全神経を集中して、その様子を感じきるのです。「最初は手の全体が痛かった」という状態が、実況中継を続けていると、痛みの箇所が変わってきたりします。それも、ひたすら感じるのです。

 

 そうすると、不思議なことに、2分以上も手を氷水につけていられるのです。

 

 感情もこれと似ています。感情を否定すると、その感情を感じることができずに、抑圧されてしまい、その感情が何倍にも膨らんで、心の奥底に溜まり、やがてゆがんだ形で、あらゆる場面で、悪影響が出てきます。

 

 でも、「悲しい」「つらい」「怒っている」「苦しい」など、ネガティブであまり長く感じていたくないような感情でも、しっかりと、感じきり、味わい尽くすと、ある時点で、ふっと解消され、心が軽くなる瞬間が訪れます。

 

 あまりにもつらいことばかりで、感情を抑圧することで、機能不全家族という環境を生き抜いてきた人達は、その環境から逃れても、感情を感じることがわからなかったりしますし、感情との向き合い方を学べていません。

 

 嬉しい、幸せ、安心、など、平穏な状態、幸福な状態に慣れていない、とも言えるし、反対に、悲しみや怒りには、抗うことでさらに溺れ、偏った思考癖によって、さらに、怒りの火に油をどんどん追加して、大爆発なんてことにもなったり…心が、いつも不安定で、休まらない状態が多いですね。

 

 ですので、逆に、問題のある状態、悲しんでいたり、怒っていたりと感情がネガティブな方向へと浸かっている状態を、今まで一番多く感じていたので、無意識が、その状態に戻るように、引き戻そうとしたりします。

 

 無意識は、自動運転が得意ですから、変化を嫌う傾向があるのです。

 

 その仕組みを知ったうえで、根気強く、自分の心の方向性を変えていくと、次第に新しい状態へ移行していけると思います。

 

 私も、まだまだ、悲しんだり、怒ったりという状況下で、どうしても反射的に、その感情に抗い、抵抗したり、溺れたりする癖が時々出ますが、浮上するまでの時間は、劇的に短くなってきました。

 

 どんなことでもベイビーステップしていれば、少しずつでも前に、進むのですね。

 

 「氷水」の記事を、ずいぶん前に書いていたのに、途中で止まっていて、放置していたことに気づいて、今回、upしてみました。