勘違いが地球を救う!? 痛快ドタバタ小説


 


 勘違いヤロゥ! 




  突然連載開始!



 尚、この作品はフィクションであり、登場団体、人物、はたまた人間関係などは現実とは一切関係ありません。また、登場人物の奇妙奇天烈、不可解な行動は絶対に真似しないでください。


 




  人間の人生を一からあげていくなんてきりがねえ。


 そもそも、自分の一生を全て覚えている人間なんていやしない。


 だがよ。人生の断片ってのは覚えているんもんだ。断片ってのはいわば、忘れられない記憶だ。


 思い出とも言い替えていい。英語ならメモリーだ。


 しかしよ・・・記憶ってのは、どれもこれもが良いものだとはかぎらねえ。思い出したくもないやつもある。


  そう、ちょうどあの時の出来事だ。


  あれは確か・・・俺が17の夏の出来事だった。






  第103話「ストーカー被害」その1


  


  「うるせぇ。ああ、もううるせぇ!!」


 まるで寝不足の俺をあざ笑うかのようなセミの大合唱が耳をつんざく。


 いくら寿命が短いとはいえ、こっちにとっては大迷惑だ。せっかくの夏休みをエンジョイして、夜中中遊びまくってた俺の頭にがんがん響く。とてつもなく響く。うっとおしいほど響く。まだ響く。響く。なきやむ気配ない。


 「ああ、もううぜぇ。あまり、俺を苛めていると市に害虫駆除を訴えるぞ!!」


 と、わけのわからんこといいながら、俺はセミとの決して避けられないバトルを予感していた。


 敵の数は多い。一斉に鳴かれたらそのうちこっちがおかしくなる・・・もう、十分おかしくなっている気もしないでもない。だが、そんなことはノープロブレム。問題ない。


 しかし、その予感は外れた。俺にとって、セミのことなど一瞬にして消え去る衝撃が脳を襲ったからである。


 俺の横を自転車で通過する二人の女子高生。


 彼女の顔を見た途端、俺の脳に電流が奔った。そして、謎のファンファーレが流れだすとともに、常夏の海が見え始めた。気分はもう最高。絶好調。英語で言えば、ワンダフルだ!


 風に靡く髪。あどけない笑顔。どれをとっても俺にとって大ヒット商品だった。くじ引きでハワイ旅行を当てたような気分だ。もう、俺の頭の中ではハワイの波が近づいていた。


 地球に重力があるように、昼と夜が交互にやってくるように、正月にお雑煮を食べるかのように。猫がマタタビの木をかじるかのように。


 あらゆる意味で絶対的なお約束。


 そう、それは完璧な一目惚れだった。


 その2に続く。