現代版シンデレラ(32)の続き。最初からは→現代版シンデレラの扉
シンデレラと王子が踊っているのに 嫉妬した義理の姉は
できるだけ急いで グレッグがいる部屋へと向いました。
扉を開けて中に入ると グレッグは まったくもって焦ったようすもなく
ダージリンティーを 楽しみながら 義理の姉に語り掛けました。
「来たか、そろそろ来る頃だと思っていた」
「なんで、そんな悠長なわけなんです? このままだとシンデレラは王子と結婚して・・・」
義理の姉の焦燥振りは グレッグにさらなる笑いを 提供してくれました。
「くっくっく・・・何を夢見たいなことを言っているのだ。シンデレラはただダンスを一緒に踊ったに過ぎない。まあ、あの娘の母親はハリウッド女優顔負けの飛びっきりの美人だったからな。あれだけの衣裳と教えてもいない淑女ぶりを見せられれば、王子であろうが興味を持つとは予想はしていた」
確かに一度ダンスを踊って 即結婚なんて 話は童話ぐらいでしか聞いたことがありません。
「何、心配には及ばん。これからのことを説明するのでよく聞いておくように」
グレッグは城の見取り図を テーブルに広げながら グレッグの考えた
恐るべき作戦を 説明していきます。
「いいか、シンデレラが王子と話すとなると、会場ではまず無理だ。当然、どこか誘おうとするだろう。賢い女性なら間違いなく個室を選ぶが、シンデレラはそこまで先を見ていない。だとしたら、王子がどこに誘うかだ・・・。この城で二人きりになれて、絶景の場所がここだ・・・」
グレッグは 見取り図のある一点を指差しました。 そこは三階のバルコニーでした。
「会場からここに行くには、両端に階段がある。王子は近い方を選択するのが普通だ。今の王子のいる場所からは、この右の階段を使用して、バルコニーへと向う」
「これは当初の計画どおりの動きだ。すでに暗殺者はその場所を狙える位置で待機しているころだろう。お前には、王子を引きつける役をしてもらうぞ。シンデレラが死んで、次に重要になるのは、我々のアリバイになるからな。そのために、まだ私の娘としてお前を王子に紹介していなかったのだ」
「アリバイ? でも、暗殺者は私たちは何の関係もないんじゃ・・・」
「表向きはな・・・だが、シンデレラが殺されれば、当然、死体解剖され、犯人捜査が行われる。我々はシンデレラを殺した憎き犯人を追ってもらう演技をしなければならない。すでに行方不明の届出は出している。その時、我々には犯行が無理で、それが会場の何百人もいる証人が証明してくれるという完璧なアリバイがあれば、まず疑われることはない」
すでに 殺した後のことを考えているグレッグに 義理の姉は
怖いものを感じましたが なんとか黙って聞いていました。
「犯行時刻は24時の鐘が鳴った後、鳴り終えるまでの、わずか1、2分。だが、絶対にバルコニーに近づいては駄目だ。お前は王子をひきつけ、私は会場で目立つ所にいる。いいか、シンデレラの遺体が発見されて、誰かが騒いでも絶対にじっとしていろ。その遺体は我々とは無関係だと振舞うのだ」
続きは→ 現代版シンデレラ(34)
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