現代版シンデレラ(29)の続き。最初からはこちら→現代版シンデレラの扉


 そこは 何もかもが 別世界の光景のようでした。


 まばゆい照明に照らされ 美しく着飾った 何百人もの淑女と紳士が


 静かなクラシックの名曲と ともに踊っています。


 シンデレラは その中を 堂々と 歩いていきます。


 教えられたとおりの 淑女のたしなみを 身につけ


 歩く姿は まさに美しいアマリリスそのもので


 招待客は 王子へと続く道を 自然とあけていくほどでした。


 「あの美しい娘さんはいったい誰かしら?」


 「さあ、社交界では見たことないが・・・」


 「でも、名のある家のお嬢様に違いないわ」


 こういった会話が 何処からともなく流れては 音楽によって消えていきます。


 シンデレラの姿を見た王子は 一目見ただけで その美しさに魅了されました。


 ガラスの靴を履き 華奢な身体にまとった 薄くて青いドレス。


 そして何よりも その瞳の美しさ。


 覚悟を決めた瞳です。王子に惚れて ダンスを誘いに来た お嬢様とは


 まったく異なり それこそ 王子を惹きつける魅力に 映りました。


 「ああ、なんという美しい娘だ・・・」


 王子は自ら立ち上がり シンデレラのほうへ 歩いていきます。


 そして 跪き シンデレラの手に 口付けをします。


 「どうか私と踊っていただけますか?」


 「はい・・・」


 こうして二人のダンスは 始まりました。


 しかし まるで二人のダンスを邪魔するかのような 放送が入ります。


 「緊急連絡です。24番の関係者の方、至急、執務室へ来て下さい」


 そして 再び会場は 厳かなダンスの調べが 流れ出します。


 人々は シンデレラと王子が踊るのを 見つづけています。


 すでに 先ほど入った連絡の事など 頭にありません。


 そして まさかそれが 暗殺者へのターゲットが現れ


 24番という場所にいるという 秘密裏のメッセージなどと


 気づくはずもありませんでした。


 続きはこちら→現代版シンデレラ(31)


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