Micmacs-ミックマック | 蒼龍の棲む洞穴

Micmacs-ミックマック

 そういや映画を観ました。ジャン・ジュネの「ミックマック」。「アメリ」とか「デリカテッセン」結構好きだったんで、恵比寿ガーデンシアターで先行上映してるのを聞きつけてはるばる行ってきました。全国上映は18日からだったかな。



これほどフランス映画らしい映画もないと思う。見終わった後アタマの中を掻き回されたみたいにぼんやりしてしまう感覚というかね。フランス人の感性に脳味噌をぶっ叩かれにいく映画です。ストーリーとか適当だし、観ていて結構退屈するんですが、随所にあるセンスの良さに打ちのめされます。

まず映像の撮り方がとても美しい。小道具・大道具・セットが格好イイ。そんなMrビーンみたいな感じです。フランス人はギャグ好きだね。皮肉たっぷりのブラックジョークとか。設定もぶっ飛んでるし、話としても滅茶苦茶なんだけど、おおらかで色鮮やかなフランスに吹く風の臭いをこれでもかって味わえます。

なんかね、これ観るとなんで北野武がフランスで大受けしてるか分かる気がする。マジメな映画以外でも結構うけてるよね、フランスでは。アキレスと亀とか菊次郎の夏とか座頭市とか途中で話が崩壊してるにも関わらず、それをおおらかに評価してるのはフランス人の感性なのかな。アウトレイジなんかもギャグ映画だったしなぁ、ほとんど。

ジュネ監督は「アメリ」「エイリアン4」なんかではカッチリ作品を仕上げたんですが、「ミックマック」では「デリカテッセン」以来の遊びというか趣味で楽しんで、ゲラゲラ笑いながら作った印象が残りました。映画という名の感性の押し付けが好きな人、日頃「なんか面白いことない?」が口癖の人なんかは観に行くとすごく楽しめると思います。(逆に満ち足りた人生を送る人にはつまんないでしょう)

戯画化された奇天烈なキャラクターばっかでてくる例のジュネ映画なんですが(アパートの中に蛙とカタツムリの群れと一緒に沼みたいな部屋で暮らす変人とか)、僕はその中で変な発明ばかりしてる博士的な人がすごいすきです。なんか発明品の無駄な作り込みに感動しました。

ラストシーンの撮り方は、アメリカ人でもイタリア人でも中国人でも、まして日本人には絶対に撮れない、鳥肌が立つような素晴らしいセンスのよさでした。なんかできるんならマジメに撮れよとか思うのは僕だけでしょうか。あぁあと音楽も素晴らしいんだ。

もし観に行きたいと思う人がいるのなら、まだ公開には時間があるし、「アメリ」くらい観とけば良いと思います。アメリ観たならデリカテッセン観れば良い。デリカテッセンの意味不明ワールドに耐えれるのなら、あなたには「ミックマック」を見る資格があります。笑。

☆☆★
一般人にはお薦めし難い が、俺は結構好きだ


アメリ予告編がない… 音楽だけでも 観たことのない人は観たら良いと思う


デリカテッセン 言葉のない予告編ってすげーな