日中戦争の開戦から87年、太平洋戦争開戦から83年経過しました。再び開戦前の世相、雰囲気になっております。1945年の敗戦から日本は戦争をしておりません。平和憲法の下で繁栄をなしとげました。しかし日本経済のピークから30年が経過し、属国に転落しました。経済は失速し、社会の公正は傷つき、富と権力は集中し、貧困が拡大しました。現在に至っては、大資本が利益を出すための戦争が想定されています。

 

与党議員の秘書が警察に取り調べを受けたことから、裏金不正が大きく取りざたされておりますが、その陰で、戦争を進めるための大方針が、今年、国民に意識されないまま一挙に成し遂げられてしまいました。これは、共産党、令和、社民を除く多数決で進められました。

 

アメリカと戦った太平洋戦争の開戦時は、当時の日本とアメリカの間では国力の大きさで10倍の開きがありました。勝ち目は無いのは明らかでした。しかし、少し前から始めていた中国との戦争の泥沼もあり、戦果を求めて破滅に突き進みました。大政翼賛会が結成され、総力戦のために与野党が団結して国会運営がなされました。

 

当時の帝国議会で戦争に反対した議員はほとんどいませんでした。しかし尾崎行雄は大政翼賛会には属さずに選挙に当選し、戦争に反対を唱え続けました。尾崎は帝国議会の発足に関わった重鎮として一目置かれる存在でした。戦争が終わった後は、尾崎はあの戦争中に反対を貫いたとして国民的な尊敬を集めました。現在、国会議事堂横の憲政会館の前庭に尾崎行雄の銅像があり、建物内で業績が展示されています。

 

思い出されるのは、日本共産党が戦時下の厳しい弾圧の中で、命がけで戦争に反対を貫いたことです。加藤周一氏は、「そのような行為は、日本軍が周辺諸国の人々に行った残虐行為から日本人の名誉を救った。」と述べています。共産党の主張は敗戦後の日本国憲法にほとんど全面的に取り入れられました。戦争の敗北と不名誉の中で、日本国憲法に日本人の倫理的な優位性が託されたのだと考えられます。

 

現在は、労働組合の連合の芳野会長が戦争を推進するようです。一貫して反共の立場です。労働組合の代表として理解できない言動がみられますが、芳野氏にはある別の団体の影響を感じます。

 

今の野党第一党の立憲民主党や国民民主、維新の会は、最近の経済安保関連法、地方自治体を国が支配できる法律、武器輸出に関する法律、食糧の供給に関し農家に罰則を伴う強制労働を可能にする法律、などの戦時体制を整える法案に賛成のようです。いずれの法律も憲法に違反する可能性があります。

 

このように現在、戦前と同じような大政翼賛会的な戦時体制が国会内に出来上がっています。マスメディアは大本営発表さながらの宣伝活動を行っております。ソーシャルメディアにおいては投稿は自由に出来ますが、情報の広がりにおいてコントロールされていますし、世論誘導も活発に行われています。メディアはプロセスを明らかにしないまま国民世論を形成します。

 

今想定されている敵国に、日本は戦争をして勝ち目はありません。日本の宗主国は、数年前にイラク、アフガニスタンから軍隊を引き揚げました。現在のウクライナ、パレスチナ戦争では最新の高額兵器を提供しました。次は極東に戦争を求めてくると思います。

 

宗主国の武器と覇権のために、属国を使って戦争を行わせようとしているようです。仮に全面戦争になると、日本人に大きな犠牲が出る可能性があります。

 

しかしまだ選挙を通じて戦争を止められる可能性があります。もし大惨事を回避して現在の難局を乗り切ったならば、日本人にとって歴史的な勝利となるでしょう。