🗓️ 2023年
1. MGMT遺伝子による治療効果予測

• 東京医科歯科大学が、ストレプトゾシン療法の効果を予測するマーカーとしてMGMT遺伝子の有用性を発表。
• MGMT陰性例では治療効果が高く、個別化医療の可能性が広がる。


2. 糖質制限による腫瘍進行抑制

• 国立がん研究センターが、糖質制限食がPNETの進行を抑制する可能性をマウスモデルで確認。
• PI3K-Akt-mTOR経路の抑制がメカニズムとされる。


3. 診療ガイドライン第3版の改訂準備

• 小型直腸NETの内視鏡治療や遺伝性腫瘍への配慮など、より実臨床に即した内容への改訂が進行。


🗓️ 2024年
1. ルタテラ®(PRRT)の一次治療としての有効性(NETTER-2試験)

• ノバルティス社が、進行性GEP-NETに対するルタテラ+オクトレオチド併用療法の有効性を報告。
• 無増悪生存期間が22.8か月に延長。


2. エベロリムス+ランレオチド併用療法の導入

• 国内施設で、高分化型NETに対する併用療法が標準治療として導入され始める。


3. 免疫チェックポイント阻害薬(デュルバルマブ)の治験開始

• 国立がん研究センターが、NECに対する免疫療法の第III相治験を開始。
• 小細胞肺がんとの類似性に着目した新戦略。


🗓️ 2025年(現在まで)
1. カボザンチニブ(CABOMETYX®)がFDA承認

• 良く分化したPNETに対する新規分子標的薬として、2025年3月に米FDAが承認。
• 無増悪生存期間が13.8か月に延長。


2. STARTER-NET試験:アフィニトール+ソマチュリン併用療法が有望

• 日本発の試験で、無増悪生存期間が約2.6倍に延長(29.7か月 vs 11.5か月)。
• 客観的奏効率も26.8%と高く、新たな標準治療候補に。


3. ASPEN試験:小型非機能性PNETに対する経過観察の有効性

• 腫瘍径2cm以下のPNETに対して、手術よりも経過観察が安全かつ有効な選択肢となる可能性。


この3年間の中でも、希少がんであるP-NETに関わるニュースが届いていることに、医療従事者へ最大の感謝しかありません。

選択肢が多くなることで、患者は「受け身」から「主体的なパートナー」へと変化すべきと感じます。自分の価値観や生活を軸に、医療者と協働しながら意思決定を行う姿勢を求めていきたいと思う次第です。

• 患者は医療者と対話しながら、自分にとって最適な治療法を選ぶ責任と権利を持ちます。

• 医療者との情報共有を通じて、エビデンスに基づく意思決定(EBM)に参加することが重要です。

• 自分の体験を医療機関にフィードバックすることで、医療の質向上に貢献できます。

• 治療の選択肢を考える際には、自分の生活・仕事・家族との関係などを含めた視点が不可欠です。


P-NETは稀少疾患。
治療技術と診療体制の進化により、より長期的な病勢コントロールと生活の質(QOL)の維持が可能な時代へと進んでいくのであろうと信じて疑わないです。